_轟操 side
なぜ生きているのか?
この闇社会に来るまでに散々聞かれてきた。
死にたくないから。
ただそれだけのことである。
逆に問おう、君たちはなぜ生まれてきた?
ほら、答えられない。
所詮、私含め人間とはこういうものなのだ。
仕方がない。
そして人間とは空に惹かれるものなのだ。
これは持論に過ぎないが、自分の手では届かないものには憧れる。
ないものねだりと言っても差し支えはない。
パトロールというか、散歩というか。
一応今日は仕事がある日なので星月衆のシマ一帯を見歩く。
ふと空を見上げると、水色と紫と橙がかかったようなグラーデションだった。
『綺麗だな…』
呟いた。
「「”轟操”!!ちょっとさ…、今すぐ来てくれない!?」」
突然の内線に驚く。
しかも通話相手は私の上司に当たる人。
ものすごく焦っているように感じる。
「「行けますけど…」」
「「ぇーっと…、ボク離れないとだから居ないけど、表5番、来てくれる?」」
「「はい」」
ありがとう~!と声が聞こえ、内線が切れる。
表5番か…。
ここから少し遠いが、まぁやむを得ない。
たん、と地面を蹴り、走り出せば風が鋭い刃のように吹いてくる。
こういう時に限って風も強いし、気温も低い。
マフラーでも巻いてくれば良かったかな。
最近は気温も下がってきたし、星月衆でも風邪が流行っているらしい。
私は羅生さんでもなんでもないので分からないけど。
さっきも言った…、いや、考えた?通りに、
今私が居る場所から表5番まではかなりの距離がある。
それ故に面倒な輩に絡まれることも多々あるのだ。
ここら辺で眼帯をつけているのは星月衆だ。
だなんて分かっているはずなのに、声をかけてくる。
バカだなぁ、と思うが、そんなことはどうでも良いので
表5番まで急ぐ。
表5番を見ると、思わず感嘆の声が漏れた。
『嘘でしょ…』
全身血塗れ、頭にはナイフが突き刺さった男がふらふらと彷徨っていた。
それも、何人も大量発生して。
ざっと数えただけで50はある。
でもそこら一帯に横たわった男が居るということは、ある程度は片付けてくれたのだろう。
内心は触れたくないが、能力発動のために軽く肩に触れる。
一応私の能力は効くようだが、この人数だと、どうしようもない。
“辺りの男を蹴散らせ”と命令はしてみるが、どうなるかは分からない。
さて、鬼が出るか蛇が出るか。
『…、え?』
またしても、思わず感嘆の声が漏れた。
なんと、命令を下した男があっという間に全員蹴散らし、そして自分も自滅していったのだ。
『えぇ…?』
まぁ、終わったことは終わった…、のだろう。
恐らく。
「「えっと…、表5番、終わりました…?」」
少しの不安を抱え、散歩に戻った。
____________
名 音和__Otonagi
能 操り人形__Ayatsuriningyou
二 轟操__Gousou
(@ A さん宅のお子さんをお借りしました)
コメント
4件
紫と水色がかった空はもうめあつきじゃんかぁ、、、、、 続きがァ、、気になりますねェ、、、、、