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琳埜
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ライブ終了後。
楽屋に戻る途中、
葛葉のスマホが震え続けていた。
「……うるさ」
画面を見る。
《今の腰抱き事件なに!?》
《公式が最大手すぎる》
《ローレン守る葛葉、彼氏すぎ》
《尊死した》
《あれ事故なの?演出なの?》
「……やば」
楽屋にいたローレンも、
自分のスマホを見て固まる。
『……トレンド入ってる』
「……マジで?」
『“腰”がトレンドって何……』
「知らねぇよ……」
『ファンの人……怒ってないかな』
「怒るより」
「騒いでる」
『……ごめん……』
「だから謝るなって」
『でも……』
「事故だろ」
「それ以上でも以下でもねぇ」
ローレンは少し黙ってから言う。
『……守ってくれたのは』
『……嬉しかった』
「……それは」
「言うな」
『顔赤い』
「黙れ」
――――――――――――
楽屋のソファ。
二人並んで座る。
外の歓声はもう聞こえない。
『……なぁ』
「なんだ」
『ステージで』
『あんな近くで触られたの』
『……初めてだった』
「仕事だろ」
『仕事でも』
『ドキッとはする』
「……お前」
「そういうこと言うな」
『……嫌だった?』
「嫌なら」
「掴んでねぇ」
『……じゃあ』
『よかった』
少し沈黙。
『……俺』
『今日、呼ばれてよかった』
「……俺も」
『歌えたし』
『一緒に立てたし』
「……転びかけたけどな」
『それは忘れろ』
「無理」
『ひどい』
葛葉は、少しだけ視線を逸らす。
「……でも」
「無事でよかった」
『……心配してたの?』
「……当たり前だろ」
ローレンは小さく笑う。
『……次も』
『ゲスト呼ばれたら行く』
「次も」
「ちゃんと立て」
『またコケたら?』
「また掴む」
『……ファンの歓声』
『もっとやばくなる』
「……それでも」
「離すよりマシだ」
ローレンは一瞬目を丸くしてから、
少しだけ照れたように言う。
『……ありがとう』
「……どういたしまして」
二人は並んで、
楽屋の天井を見上げた。
外ではまだ、
ライブの余韻が続いていた。
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