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私にとって大切なものは、たったひとつだけだ。
それ以外の全てはどうだっていい。
それは何か? そんなことを聞いてどうする気だ? お前には関係ないことだぞ! うるさい! 黙れ!! 邪魔をするな!!! どいつもこいつも、私から奪っていくつもりか!? 私の欲しいものをみんな持っていく気か!? ふざけるな! 絶対に許さんぞ! お前たちにくれてやるものなど何も無いわッ!! 私に残された最後の宝物……
それは命そのものなのだよ。…………。…………。…………。
だからどうかお願いだ。
これ以上、私の心をかき乱さないでおくれ。
私はただ……幸せになりたいだけなのに……。なんでこうなるのよ! 私は何もしてないわ! あーっ! イラつくぅ~!! みんな消えてなくなれば良いのに!!! あぁ……今日もまたやってきてしまった。
あの悪夢の時間が始まってしまうのだ。
時計を見ると午後10時過ぎを指していた。
いつものようにスマホを手に取りSNSアプリを開く。
そして友達一覧を開き上から順番にタップしていき友達追加ボタンを押した。
(これでよし)
私は布団に入り目を瞑った。………………
ピコン♪ しばらくすると通知音が鳴った。
スマホ画面を確認するとメッセージが届いたことを知らせてくれていた。
【お疲れ様】
その一言だけが送られてきていた。
差出人は……彼氏だった。
私は嬉しくなってすぐに返信をした。
【ありがとう(*^-^*)】
それから数分後また返事が来た。
【明日会えるかな?】【うん! 楽しみにしてるよー♪】
【じゃあまた後で連絡するね(^_-)-☆】
そんなやり取りをしてスマホを閉じる。
相手の名前は【橘結衣】
僕の彼女だった女の子の名前だ。
彼女と別れたのは半月程前の事だ。
原因は僕にあった。
いや正確には僕達と言った方がいいかもしれない。
彼女の浮気が原因だった。
もちろん僕はその事を問い詰めたし、謝ってくれたら許そうと思っていたのだが、彼女は開き直ったように言い放ったのだ。
──あんたが勝手に勘違いして怒ってるだけだろ! あんたこそ、俺のことなんて何も知らないくせに! あーあ、もうやめた。
俺はもう帰るよ。じゃあな。
◆ ◆ ◆
「おい、起きてるか?」
部屋の扉が開き、その隙間から男のシルエットが見える。
男は部屋の中に足を踏み入れ、ベッドの上で布団を被って丸くなっている僕に声をかけてきた。
「ん~……あと五分」
僕はそう答えながら寝返りを打ち、再び夢の世界へ旅立とうとする。しかし――
「こらぁっ!」
「うわあっ!?」
耳元で怒鳴られ、僕の体は飛び上がった。
慌てて声の主の方を見ると、そこには見知った顔があった。
「なんだよ姉さんか……驚かさないでくれよ」
僕と同じ黒髪ロングの女性を見て、僕はホッと胸を撫で下ろす。