at視点
モブ なぁ、ちぐさ、また数字上がってるやん。今何?800いった?
モブ いやマジすげぇよな、あっとの何がそんなに……
俺の名前が聞こえた時点で、耳はそっ閉じ。
いつものこと。気にしてない。……はずだった。
それでも、自然と視線がそっちに向くのは――なんでだろうな。
at ……
ちぐの席。
俺の2列斜め前。
今日も、頭の上に数字が浮いてる。
「782」
もうすぐ800。
1週間で、ここまで来た。
俺のは、ずっと「0」のまま。
それも、ちぐは知ってる。誰よりも、ちゃんと見てるから。
なのに、毎日数字が増えていく。
それが、
俺にはちょっと――可愛いくらい、すごいって思った。
tg ……
ちぐが、俺のことを見てた。
すぐに目をそらして、慌てたみたいにノートに視線を落とす。
そしてまた、数字がひとつ、増える。
「783」
あいつ、絶対気づいてる。
自分の気持ちがバレてるの、知ってるのに。
それでも隠さないで、俺を見てくる。
真っ直ぐな目で。照れてんのに、それでも。
俺が知らないふりしてんの、
……見透かされてんのかな。
ほんとは、見てる。
気にしてる。
ちぐの数字が、今日もひとつ増えたのを見て、
なんか――胸の奥が、ザラっとした。
俺にも、数字が出たらいいのに。
そしたら、こいつにちょっとだけ返せるのに。
でも俺の上は、相変わらずの「0」
この数字のシステム、ほんと不公平だ。
……いや。
不公平なのは、俺のほうか。
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