テラーノベル
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おまる
玄関先での激しい抱擁から、逃れる隙もなかった。
高瀬は私を抱き上げたまま寝室へと運び、シーツの海に沈める。
背中に伝わる柔らかな感触と、彼が見下ろす熱い視線の温度差に、心臓の鼓動が耳元まで響いた。
「……瞬、くん……まだ、着替えも……」
「そんなの、後でいいって言ったでしょう。…今の凛さん、あんなに楽しそうに笑ってた家族の余韻が残ってて……すごく、癪なんです」
彼は私のブラウスのボタンを、焦れったそうに指先で弾いていく。
一つ、また一つと肌が露わになるたび、彼の瞳に宿る昏い火が強くなっていくのが分かった。
「……俺だけを見て、俺の声だけ聞いて…俺の熱だけで、頭の中いっぱいにしてほしい。……いいですよね、凛さん?」
拒絶する言葉なんて、最初から持っていなかった。
彼の唇が首筋から鎖骨へ、そして昨夜の名残が残る胸元へと降りてくる。
吸い付くような刺激に思わず背中を逸らすと、彼は満足げに喉を鳴らした。
「……っ、あ……しゅん、……激し、すぎ…」
「……全部、凛さんが可愛いのが悪いんすよ」
重なり合った肌が、汗ばんで密着する。
彼の逞しい腕が私の腰を抱き寄せ、逃げ場を塞ぐように深く、貫くように繋がった。
体内の奥深くまで彼の存在が押し寄せ、思考が真っ白に塗り潰されていく。
かつては「支配」されることが怖かった。
でも、瞬に与えられるこの感覚は
私を縛る鎖ではなく、私をこの世界に繋ぎ止める確かな愛の証。
「りんさん…愛してる……俺以外、何もいらないって言って……」
理性が霧散した彼の、掠れた声が耳元を打つ。
私は彼の背中に爪を立て、溢れ出しそうな快楽の中で、何度も彼の名前を呼んだ。
実家で見せた「弟」の面影はどこにもない。
ただひたすらに私を求め、私のすべてを独占しようとする「雄」の熱に浮かされながら
私はこのまま彼に溶かされてしまいたいと、心から願っていた。
長い夜
私たちは何度目かの絶頂を越えてもなお
離れることを惜しむように、固く、深く、肌を重ね続けた。
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