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鈴吉は『みっちゃんのくだものや』の小庭の隅で丸まっていた。居間からはさんまの焼ける香りがしている。
拓郎は盗っ人の自分を怒ってはいても、よもや追い出すような真似はしないだろうと、長年の付き合いで分かり切っていた。
ガラガラと軋んだ音を鳴らして戸が開く。
鈴吉は思い切り猫なで声をあげた。
拓郎は。
「しょうがねえなあ。ほら食えパカ猫!」
と言って、さんまの身を一欠片投げた。
鈴吉はそれをペロリと平らげて思った。
『だから猫はやめられないぜ! メシも食ったしひと眠りするかな。おやすみ人間たち」
そうしてまたまん丸になると、穏やかな眠りにおちていった。
お後がよろしいようで。