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第1話: 転生

夜の都会は、今日も疲れた匂いを漂わせていた。排気ガス、古びたコンクリートの匂い、遠くで響く電車の音。ユウは背広の肩を落とし、駅に向かう。


「また、今日も何もできなかったな…」

心の中で呟くと、空っぽの胃がさらに沈むように痛んだ。社会人三年目の彼にとって、毎日は同じ景色の繰り返しだった。


そのとき、かすかな悲鳴が聞こえた。

「わっ!」

女子高校生が手荷物を抱えたまま線路に転げ落ちる。ユウは反射的に駆け寄る。


「待って、落ちるな!」

手を伸ばす瞬間、次の電車が光の帯となって迫る。轟音に耳を裂かれ、全身が強烈な衝撃に包まれた。


──そして、意識が遠のく。


気が付くと、見知らぬ空が広がっていた。深い青に染まる空、柔らかい草の匂い、遠くの森から聞こえる鳥の鳴き声。風は穏やかで、でもどこか冷たく湿っていた。


「……ここは、どこだ?」

声にしても、答えはない。足元には丘の麓に二つの古びた墓。錆びた剣がひっそりと横たわっている。


「これは…夢? いや、夢じゃない…」

胸の奥で、小さな声が囁いた。


「どうか、寿命で死なせてほしい…」


遠くの山から戦の煙が立ち上り、道端には病に苦しむ人々。

「この世界、…過酷すぎる」

ユウは目の前の現実を見据え、拳を固く握る。


「でも、ここで諦めるわけにはいかない…生き延びなきゃ」

目を閉じると、これからの旅の景色が頭の中に浮かんだ。安全な場所を探し、知恵を働かせ、仲間を作る――生き延びるために、全てを使わなければならない。


そして、ユウは小さく笑った。

「よし、まずは生きる道を探そう…寿命で死ぬために」


丘の上から見下ろす世界は、静かで美しい。しかし、そこには戦乱と病の影が潜んでいる。

新しい人生の始まりに、ユウの心は少しだけ高鳴った。



転生したら帰れません

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