テラーノベル
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第21話 多分!
気がつけば、あの夏の暑さはいつの間にか少しずつ和らいでいた。
朝、家を出ると、少しひんやりとした風が頬を撫でる。
校庭の木々も、まだ緑色の葉が多いけれど、その中には黄色く色づき始めた葉もちらほら見える。
そういえば…文化祭まで、あと少し。
今日から本格的に文化祭の準備が始まる。
楽しみだな〜!
そんなことを思いながらたっつんの家の前で、彼が出てくるのを待つ。
扉が開き、たっつんが出てくる。
💚「たっつん!文化祭楽しみだねー!」
💛「そうやなぁ」
💚「何するんだろ?」
💛「今日、クラスで決めるんやろ?」
💚「じゃあ絶対楽しいやつにしよう!」
💛「お前、楽しさしか考えてへんやろ」
💚「もちろん!」
💛「堂々と言うな」
二人でくだらない話をしながら、学校へ向かう。
**
校門をくぐると、いつもより少しだけ賑やかな雰囲気がした。
廊下には文化祭のポスターが貼られ、教室からは「これやりたい!」なんて声が聞こえてくる。
そして、3年A組でも――。
💚「文化祭、何する?」
💛「普通のカフェとか?」
💚「うーん……」
クラスのみんなで、黒板にいろいろな案を書いていく。
カフェ。
お化け屋敷。
ゲーム。
クイズ大会。
どれも楽しそうだけど、なかなか決まらない。
そんなとき。
💚「……あ!」
💛「ん?」
💚「女装男装メイド喫茶とかどう!?」
💛「…………は?」
教室が一瞬静かになる。
でも。
「それ面白そう!」
「やってみたい!」
「絶対写真撮りたい!」
思ったよりも、みんなの反応はいい。
💚「でしょ!?」
💛「いや待て待て」
たっつんが慌てて口を挟む。
💛「それ、俺らもやるん?」
💚「もちろん!」
💛「……」
たっつんが頭を抱える。
💚「たっつんの女装楽しみだな〜!」
💛「まじで嫌なんやけど」
💚「絶対似合うって!」
💛「てかお前も女装するんやからな!?」
💚「…………え?」
💛「お前だけ男装する気満々やったやろ」
💚「いや、俺はほら……男装担当かなって」
💛「逃げんな」
💚「……」
💛「お前も女装や」
💚「……俺も?」
💛「当たり前や」
#リクエスト
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1
118
えとゆあ推し!
61
こうして――。
3年A組の文化祭の出し物は、女装男装メイド喫茶に決まった。
**
そして放課後。
明日から文化祭準備期間に入るため、部活動は明日からしばらくお休み。
俺とたっつんは、いつものようになんでも相談部の部室へ向かっていた。
💚「明日から文化祭準備期間だね〜!」
💛「せやな」
💚「楽しみだなぁ」
💛「ちゃんとクラスの仕事せえよ?」
💚「たっつんもね!」
💛「俺はちゃんとするわ」
部室の扉を開ける。
💚「ただいまー!」
💛「誰もおらんけどな」
💚「言ってみたかっただけ!」
二人で席につき、少しすると――。
コンコン。
💚「はい!」
扉が開く。
🩷「こんにちは〜!」
💚「のあちゃん!」
🩷「お疲れ様です!」
のあちゃんは、手に何かを持っていた。
💚「それ何?」
🩷「お菓子です!文化祭の準備で疲れると思って、持ってきましたー」
💚「やったー!!」
💛「ありがとう!」
🩷「みんなで食べましょー!」
三人で机を囲み、お菓子を食べながら文化祭の話をする。
そんなときだった。
ガチャ。
🖤「よっ!」
ノックもなしに男の子が入ってきた。
茶髪の、襟足がちょっと長めのウルフカットっぽいかんじ。
ピアスや指輪をつけていてチャラい。
……なのにイケメン。
💚「……」
💛「……」
🖤「なんだよ、その顔」
💛「またお前かよ」
そう。
たっつんの言うとおり、こいつはよくここに『かわいい子探してて』
だとか
『彼女ができない』
だとか、 どーでもいいお悩みを相談しにくる。
こいつは二年生のうり。
でも、俺は見た目に反してちょっとかわいいとこがあると思ってる。
現にみんなから『うりりん』なんて呼ばれてるし。
🖤「いやいや、今日はまじのお悩み!」
💛「お前毎回それ言ってるやん」
🖤「今日は本当に困ってんの!」
そう言いながら、うりは部室に入ってくる。
そして――。
のあちゃんを見た瞬間、目を輝かせた。
🖤「……え!!君!」
🩷「はい?」
🖤「かわいいね!」
🩷「えっ?」
🖤「俺とバンド組まない!?」
何言ってんのこいつ!?
💚「だめだめ!」
💛「だめや!」
🖤「なんでだよ!?」
💚「のあちゃんは俺らのなんだから!」
💛「そうやそうや!」
🩷「……??」
🖤「じゃあ俺のお悩み聞いてよ〜〜!」
……やっぱりうり、ちょっとかわいいな。
💛「しゃーないなぁ……」
たっつんがため息をつく。
💛「悩み聞いてやるよ」
🖤「さすがたっつんさん!」
💛「ただし――」
たっつんがうりを指差す。
💛「のあちゃんに手出すな」
🖤「はいはーい笑」
🩷「あはは……」
のあちゃんが苦笑する。
🩷「じゃあ私はそろそろ」
💚💛「いってらっしゃ〜い」
パタン。扉が閉まる
💚「で?うりりんは何に困ってるの?」
🖤「それがさ――」
うりは椅子に座った。
🖤「文化祭でバンド組みたいんだけど!」
💚「バンド?」
🖤「そう!ステージ一枠とってもらってさ!」
💛「うん」
🖤「俺、ギターとボーカルやるから!」
💛「おお」
🖤「あとはベースとドラムで最低2人は必要なんだけど――」
うりは少しだけ困った顔をする。
🖤「誰も組んでくれなくて!」
💛「なんで?」
🖤「なんか、めんどくさい〜とか」
🖤「目立ちたくない〜とか」
🖤「あと――」
🖤「『お前、約束守んないから』〜とか」
💛「最後のはディスられてるくない?」
🖤「俺も約束守ってるけどなぁ」
💚「でも、メンバーがいないんじゃバンドできないね」
🖤「そうなんだよ!」
うりがばたっ!と机に突っ伏す。
🖤「せっかく文化祭なのに……」
💛「どうする?」
💚「誰かに声かけてみる?」
💛「声かけてもやってくれるかな〜?」
💚「うーん……」
俺は腕を組んで考える。
そして――。
💚「……あ!」
いいこと思いついた〜!
💛「ん?」
💚「てかさ」
俺は二人を見る。
💚「俺たちがやればいいんじゃね?」
💛「…………え?」
🖤「……!」
💚「俺たち3人なら、ちょうどいいじゃん!」
🖤「じゃぱさん……!」
うりが勢いよく立ち上がる。
そして崇めるかのように俺の手を握ってくる。
🖤「ありがとう!!」
💚「なんでも相談部にまかせて!」
💛「え?」
💛「いや、まだ俺やるとは言ってな――」
💚「やるやる!」
💛「へ……?」
💛「まじ……?」
🖤「やったー!決まりだな!」
💛「勝手に決めんな!」
💚「いいじゃん!」
💛「お前なぁ……」
たっつんが呆れたように俺を見る。
でも、俺はもうやる気満々だった。
💚「文化祭でバンドとか、絶対楽しいじゃん!」
🖤「だろ?」
💛「……まぁ、確かに楽しそうやけど」
たっつんも少しだけ笑った。
……しかし。
ここで、超重大な問題が発生した。
💛「……あ」
💚「ん?」
💛「ちょっと待って」
たっつんがうりを見る。
💛「俺ら、何したらいいの?」
🖤「え?」
💛「バンドやるって言ったけど……」
💛「俺、楽器できへんぞ?」
💚「……俺も」
🖤「…………」
三人の間に沈黙が流れる。
🖤「……楽器、触ったことある?」
💚「ない」
💛「ない」
🖤「……まじか」
💛「うりりん、今絶対『終わった』とか思ったやろ」
🖤「いやいや!」
うりは慌てて手を振る。
🖤「まあ、なんとかなるよ!」
💛「なるか?」
💚「なるなる!」
💛「お前は何の根拠があって言ってんねん」
💚「気合い!」
💛「気合いだけでほんまに楽器弾けるんか?」
🖤「まあまあ!」
🖤「練習すればなんとかなるって!多分!」
💛「……ほんまか?」
🖤「ほんとほんと!俺が教えるからさ!!多分!」
うりは自信満々に笑った。
……こいつは本当に大丈夫なんだろうか。
俺も少しだけ不安になってくる。
💚「じゃあ、明日から練習しよう!」
🖤「おー!」
💛「え、もう始まるん!?」
🖤「当たり前だろ!文化祭まで時間ないんだから!」
💛「……」
たっつんが頭を抱える。
💚「じゃあ俺、ドラム!」
🖤「OK!」
💛「……てことは俺がベースかぁ」
うりがギターとボーカル。
俺がドラム。
たっつんがベース。
これで一応、バンドの形にはなった。
……ただし。
俺たち2人とも、楽器未経験。
💛「……ほんまに、なんとかなるんやろな?」
🖤「なるって!多分!」
💛「さっきから多分しかいってないけど…」
💚「大丈夫大丈夫!多分!」
💛「二人とも楽観的すぎるやろ……」
窓の外では、秋の風に木々の葉が揺れていた。
文化祭まで、あと少し。
俺たちのバンド活動は――こうして突然始まった。
たっつんは、
果たして、本当に間に合うのだろうか。
そんな不安を抱えているが。
俺は、ちょっとだけ楽しみ。
💚「明日から頑張ろー!」
🖤「おー!」
💛「……おー」
それから文化祭までの忙しい毎日が、始まった。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
どうしてもたっつんに女装してもらいたくて、3年A組の出し物は女装男装メイド喫茶になりました。
実はほんのちょっとだけ、うりくんは6話 最年少キャプテン に出てました!!
次回 第22話 音が重なる ♡70↑
コメント
5件
6話見返してきたけど冒頭のくだらない相談のことかw
おもろ!!たっつんの女装か〜(・∀・)ニヤニヤじゃっぴ惚れるやろwてかベースとドラム!?ドラムはまだしもベース、、、楽しみにしてます!
うわっ第21話めっちゃ楽しかった!文化祭の出し物決めでいきなりの女装男装メイド喫茶(笑)たっつんの「まじで嫌なんやけど」がツボすぎたw そしてバンド結成!うりがのあちゃんにいきなり「バンド組まない?」ってナンパしてるの本当にチャラいけど憎めないやつだな〜。でも一番グッときたのは「俺ら、楽器できへんぞ?」「……俺も」からの「多分!」の連発。もう不安しかないけど楽しそうで最高!たっつんの女装もバンド練習も次回が待ち遠しい🔥