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5 - 第5話 2000円札再び

2022年08月18日

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バンドでの関係が改善するならバンドメンバーみんなともっと一緒にいたい。みんなでまた音楽やりたいし遊んだりしたい。みんなきっとそう思っているはずだけど、…そう思いたいけど、一線どころかしっかり太線を引いてしまった俺たちはもう近づくことは無いのだろうか。

俺は今すごく時給がいい例のバイトをしていないのだがそのバイト関係のなんだか変なおじさんに絡まれてる。30代後半くらいの三つ揃いの高そうなスーツを着た頭の良さそうなお兄さん…お兄さん?が、俺が今日はするつもりないって言ってるのにしつこくお小遣いを重ねて誘惑してくる。もうすぐ6桁いきそうだ。

「だから今日はできないってば…っ!」

過去にお金を貰っている以上荒い口使いが出来ないのでどうしても違和感のある口調になってしまう。

「なんで? いつもはやってくれたじゃん」

そりゃお金に困ってたから誰でもよかったの!今はほんとにする気ない!お金は持ってそうだけど!

「本命!本命ができたの!」

大嘘だけど。

「いいじゃんそんなやつ。そんなやつよりお小遣いあげれるよ?」

それは本当のことだ!少し揺らぐ。

「ダメだって、ヤダってば」

「野中麦。麦茶同好会のボーカルベースだよね。むぎちゃん、お金、ほら。ダメ?」

名前… こういう界隈ではリョウって名乗ってたはずなのに!

「やだっ、やめてよ!」

腕を掴まれてぐいぐい引っ張られる。意外に力が強くて手を振り解けない。今日は無理矢理系か? ずいぶんと本格的。設定上NTRもあるかな。こっちは本命いるって言っちゃったし。 諦めて変なことが頭に浮かび始める。冷静にこいつ警察に突き出してやろうかと思ったが自分の立場もやばいな、と思ってやめた。バンドメンバーが警察沙汰とか尚更関係悪化するわな。まあ俺がこんなことしてる時点で今更な気もするのだが。

さてこいつの対処を考えよう。ウザイなこいつ。俺が想像に耽ってる間も声をかけ続けている。お金をチラつかせながら。こいつ、どんだけ俺が良かったんだよ。女より面倒くさくないからか? まじで殴ろうかなこいつ。

「こいつ俺のなんだよねー、ごめんねーお兄さん! 今日のところは、これで許しといて!」

まじで殴ろうかこいつ、そう思って拳を握りしめた時に肩にとん、と手が置かれる。明るいギャルみたいな口調と甘ったるい香水の香り。ギターケースを背負っていたからこの辺でヘルプ演奏したあと女と遊んでいた途中だろう。俺を助けた…?らしい葵は封筒を渡して男の手を力ずくで引き剥がして俺を路地裏へと連れ去った。

「……かたじけない…」

「礼には及ばぬ。……もうなんにも言わないけどさ、無防備なんだから気をつけてよね」

葵は気まずそうに頭を掻いた。ハーフアップの少し長い髪がはらりとひと房落ちた。

「何渡したんだ?」

俺は葵が渡した封筒の中身が気になって尋ねてみた。言いたくない事だったら言いたくない、とはっきり言うだろう、葵はそういう奴だ。万が一にも答えられないような代物だったら怖いなあと思っていたけどそうでも無いように葵はケロッと中身を暴露した。

「2000円札だけど」

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