テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「ユリ姉さん、ブリギッテさんの来客って誰なんですか? ずいぶんとお話に時間がかかってるような気がするんですけど……。やっかいなクレーマーさんとかですか?」
「ああ、言ってなかった? うちの総長だよ」
「ほえ?」
……あ、また口癖が……。
でも仕方ないよね。だって「総長」って言ったよ。
総長って、組織の一番偉い人だよね?
「総長は電撃訪問だね。抜き打ち検査ってやつ」
「ブリギッテさんはダメな支部長何ですか?」
「あはは、違うよー。ブリギッテさんは優秀な支部長だよ。抜き打ち検査の主な理由はアリアちゃん達」
「へ?」
なんでわたし達? ブリギッテさんに迷惑かけてないよね?
プールの日に会ってから一度も会ってないし……。
「訓練所でも言ったけど、お姉ちゃんや私が個人稽古を頼まれるのって珍しいんだよね」
そう言えば、そんなことを言ってたね。
普段は本部勤めで首都にいるって。
「考えてみて。お姉ちゃんは上から3番目に偉い人、私も近い立場。そんな人が小都市まで出向いて個人に稽古をつける。しかも相手は小学生。総長が気にならない訳ないよね?」
「……そうですね」
「で、ブリギッテさんに何かあったんじゃないか? 支部の運営に影響はあるのか? 組織のトップとして現場を確認しなきゃ駄目だ、てなったの」
「なるほど……」
……なんか、わたし達のせいで大事になったみたい。ごめんなさい、ブリギッテさん。
「ブリギッテさんはね、組織の立ち上げメンバーの一人で、総長の信頼が厚い凄い人なんだよ。お姉ちゃんや私は後輩だね。立場的には私達の方が上だけど、ブリギッテさんには頭が上がらないかなー」
「立ち上げメンバーの一人……」
……そっか、だからシズカさんもユリ姉さんもブリギッテさんのことを「さん」付けだったんだ。ブリギッテさんの馴れ馴れしさと、シズカさん達の立場が合わな過ぎてモヤモヤしてたんだよね。
「予定では最初にブリギッテさんに会って、それから私達と一緒に行動するはずだったんだけどね。ま、今頃はお姉ちゃんからも報告を受けてるだろうし、普通に世間話でもしてるんじゃないかな?」
ああ、だからシズカさんは直ぐに出て行ったんだ。
総長さんにわたし達のことを報告しに行ったんだね。
「リディアさーん、案内終わったけど、ブリギッテさん達の話って終わった?」
「ユリカ、お疲れ様。もう少しみたいよ。隣の待合室で休んで待ってて」
「了解でーす」
……ん、また違和感があるよ。
「初めての方はこちらへ」に座ってる受付のお姉さん、ユリ姉さんのことを呼び捨てにしてたよ。まさか、この人も………。
「あの、ユリ姉さん………」
「うん、なに?」
「受付のお姉さん、何者ですか?」
「リディアさんのこと? ブリギッテさんの同期だよ。怒らせると怖いから注意してねー」
……それって、立ち上げメンバーの一人ってこと?
ブリギッテさんもそうだけど、なんでそんなに凄そうな人達が小都市の支部にいるんだろ?
「組織の立ち上げメンバーってことですよね? そういう人達って、普通はもっと偉い立場にいるんじゃないんですか?」
「普通はそうかもねー。ま、そこは企業秘密ってことで、ね」
「企業秘密ですか?」
「そう。下手に知ったら監禁されるからね。深く詮索しないことを勧めるよー」
「もう聞きません!」
……怖すぎるよ! 監禁って何!? この組織って、もしかして結構ヤバい?
この建物自体がありえない大きさだもんね。裏で世界を牛耳る闇の組織って言われても、やっぱりね……、て感じだよ。
「アリアちゃーん、失礼なこと考えちゃだめだよ。監禁しちゃうよー」
「ごめんなさい!」
「あはは、アリアちゃんは考えが顔に出ててわかりやすいから、楽しいねー」
……うん、もう考えない! 考えちゃダメ!
「そうそう、考えちゃ駄目だよー」
なんで分かるの!? 特殊能力!?
「なんでって、ねー……。特殊能力じゃなくて社会経験、かな?」
……もう! こうなったら………無心、無心、無心………。
「無心になってもわかるよー」
「………ごめんなさい。もう心を読まないで下さい………」
何を思ってもダメだ。
………まさか、さっちゃんにも心を読まれてる?
「ねえ、さっちゃん。もしかして、さっちゃんもユリ姉さんみたいに心を読めるの?」
「読めるよ、アリアちゃん限定だけど」
さっちゃんも特殊能力者だった……。
「そうなんだ……。あまり心の中は読まないでくれると嬉しいな」
240
#探偵
橘靖竜
5,319
自転車和尚
22
こはるん
44
「私からは読んでないから安心して。アリアちゃんが心を見せてくれた時だけだから」
……それって、顔に出たらってことかな?
「うん、そう。今みたいに顔に出たとき」
「そっか……」
もう、常時見られてると思っていいかな。あきらめよう。
「あははは、アリアちゃん、最高にいいよー! そのままでいてね!」
「嫌です」
「素直で可愛いねー。さ、待合室でゆっくり待ってようよ」
「はい」
……貝になろう。わたしの心を貝にするんだ。閉じこもろう。
「アリアちゃーん、閉じこもってないでコレ食べてみて、美味しいよー」
「………頂きます」
……なにこのお菓子! 凄くおいしい! 何個でも食べられるよ!
あ、お茶もおいしい。お菓子とすごく合う。
「すごくおいしいです! さっちゃんもほら、食べてみて、はい、あーんして!」
「ありがとう……うん、美味しいよ。じゃ、こっちも食べてみて、あーん」
「あーん……うん、これもすごくおいしい!」
……もうここに住んでもいいかも。
さっちゃんと一緒にここに住んで、ここで働いて………毎日が天国だね。
コンコン
「終わったかな。どうぞー」
「入るぞ」
あ、ブリギッテさんだ。
1週間ぶりだけどすごく懐かしい気がする。今日が濃すぎたせいだね、きっと。
「よう、久しぶりだな、アウレーリアにザナーシャ。元気そうで良かった」
「ブリギッテさん、こ、こんにちは」
「ブリギッテさん、こんにちは。今日は招待して下さってありがとうございます」
……さっちゃんありがとう! わたしがずっと考えてた挨拶を言ってくれて!
わたしは一瞬フリーズしちゃったよ。だって、後ろにシズカさんがいたから。
「二人とも変わらないな。ま、最後に会ったのが1週間前だ、そんなに変わるはずがないか。まずは、こちらの二人を紹介させてくれ」
「はい」
「シズカさんには先程会っただろうが、改めて紹介する。レクルシア副総長兼、領主指定剣術指南役のシズカさんだ」
「アウレーリアにザナーシャ、改めてよろしく」
……んん? 肩書に聞きなれない言葉が並んだよ。
副総長はなんとなく分かる。その後、領主指定? 剣術指南役? なにそれ、すごそう………。
「………アリアちゃん、挨拶………」
さっちゃんが小声で現実に戻してくれた。
「よ、よろしくお願いします!」
「シズカさん、改めて、よろしくお願いします」
「ああ、よろしく」
……怖い。なんでちょっと威圧オーラ出てるの?
わたし、なにか失礼なことした?
「そして、こちらがレクルシアのトップ、総長を務めるラフィーネさんだ」
「よろしくね、アウレーリアちゃんに、ザナーシャちゃん」
「よろしくお願いします」
「ザナーシャです。よろしくお願いします」
予想と違う普通の人だ。
こんなでっかい組織のトップだから、もっといかつい感じの人を想像してた。むしろ、普通の人よりずっとおっとりしてる気がする。年はブリギッテさんと同じくらいかな……。
「話はシズカとブリギッテから聞いてるわ。二人とも、聞いていた通りのいい子ね」
「どうも」
トントン
ん、さっちゃんが肘で小突いてきた。なに?
「アリアちゃん………敬語、忘れてるよ」
小声で教えてくれた。
……そうだ! おっとりした雰囲気に飲まれて「どうも」なんて言っちゃったよ!
「あ、えっと、すいません!」
とりあえず謝った。それしか浮かばなかったから。
「大丈夫よ、堅苦しいのは嫌いだから。それに、言葉に悪意があるかどうかは目を見ればわかるから。アウレーリアちゃんは素直ないい子。ザナーシャちゃんも素直でいい子。出会えて嬉しいわ」
「あ、ありがとうございます」
目が合った。
うわ、なんだろう、吸い込まれそうな目。深い海の色って感じ。
……すごいドキドキする。これがカリスマってやつなのかな?
「……私の用事も済んだし、別室で休ませてもらうわね。ブリギッテ、この子達のこと、よろしくね」
「はい」
「二人もゆっくりしていってね。行きましょうか、シズカ」
「はい」
シズカさんが人に従ってついて行くって……。なんだろう、すごく新鮮に見える。