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#R15
(株)姫神V
377
シュメール
364
華
155
16
可愛い後輩ちゃんが出来た。その事自体は、とても嬉しい。 嬉しい、のだけども、この世界はギャルゲーの世界。
そして私は、主人公の朝倉翔太に情報を渡し、ついでにお喋りでも出来たらなぁ、と、そんな訳で情報屋を自称している。
だから、本当ならミキちゃんと朝倉くんを繋ぐのが、私の役目になるはず……なのだけど、あの娘をどうしたものやら。
ミキちゃんは今、私への好感度が、見えはしないけど100%だろう。
朝倉くんに、ミキちゃんを紹介したとしても、私にべったりすぎて、朝倉くんに興味を示さないんじゃないか。それこそ、さやかちゃんにベタ惚れしてる、マヤちゃんみたいに。
そもそも、紹介するにしても、どう紹介したものやら。
朝倉くんとミキちゃんをくっつけるために紹介するのは、なんか違う気がする。言葉が悪いけど、女衒にでもなった気分になってしまう。
好感度100%を向けてる相手に、好感度0%(そもそも知らない)の人間を紹介されても、あんまりいい気はしない。
私に出来る事は、特に無い。何も出来ない。
(まあ、そのうち知り合うでしょ)
朝倉くんと、ミキちゃんの兄である後藤ケンジロウは知り合いだし、私が手を出さなくても『妹が清桜に入ったから、面倒見てやってくれ』みたいな話になって、朝倉くんの交友関係に入るだろう。
********
なんて思ってた翌日。
そこには頭上に22%を掲げて、屋上へやってきたミキちゃんが居た。
きっと、お兄ちゃんの計らいで、朝倉くんと会った、もしくは、後藤家に朝倉くんが遊びに行ったとかで、仲良くなったのだろう。
まあ、そこまでは分かるよ?
でもね、でもねミキちゃん。その好感度数値はなんだい? どうして一日で22%まで上がるのかな?
朝倉くんが一年アタックし続けた、桜子ちゃんより高い数値じゃないの。
「佐伯先輩って、朝倉先輩とも仲が良いって本当ですか!?」
二人しか居ない屋上で、周りの目が無いのを良いことに、ミキちゃんがいきなり質問していた。その目の輝きが、これまでに増して輝いている。
この様子だと、兄から朝倉くんを紹介された、それも、だいぶ美化された上で紹介されてるな。好感度数値も、そういう事だろう。
まあ、後藤ケンジロウの気持ちも分かる。
いきなりケンカを売って、女の子もろとも傷つけようとした自分に、なんの遺恨も残さず、一緒にランニングしようと誘うというイケメンムーブは、男から見てもかっこよかったに違いない。
「左様でございます。同じクラスな事もあり、交流は深い方だと思います」
というか私、朝倉くんからの信頼は、そこそこある方だと思うから、モブじゃなければワンチャンあったよね。
「あのあの、佐伯先輩って、恋のキューピットもされるんですよね? ボクと朝倉先輩のデートのセッティングもお願いできますか?」
「恋のキューピット……って、誰から聞いたんですか………」
彼女の兄、後藤ケンジロウがそんな事言うのは思えないし、彼の兄貴分である暴走族のリーダーはそもそも、私が朝倉くんに情報提供してるのを知らない。
いやそもそも、恋のキューピットって何。
そんな、メルヘンチックな呼び方をされていい事では絶対にない。
私のイメージでは、薄暗い路地裏で行われる闇取引みたいな。世間に憚られる、大手を振って宣伝は出来ない事だという自覚があるから、緊急事態以外は、求められてからしか情報を出さないようにしてるのに。
「小鳥遊先輩が、そう言ってました! 佐伯先輩は、自分と朝倉先輩を結んでくれた恋のキューピットだって!」
どうしよう、話自体は間違ってないし、このみちゃん視点ではキューピット扱いでもいい気がする。
間違ってないだけに、否定出来なくなってしまった。
ヒロインの幸せは、情報屋の幸せ。私の事をキューピットだと思って、それが幸せなら、否定しちゃあ可哀想ってもんじゃないの。
「恋のキューピットという呼び方は、少々メルヘンが過ぎると思いますが、まあ、やってる事自体は、そんな所ですね」
「ということは!」
ですよねー。
いや待てよ、ミキちゃんが朝倉くんに興味持って、デートがしたいって言い出してくれたのは、都合が良い事じゃないか。
よし、情報屋として、恋のキューピットとして、全力でサポートしてやろうじゃないか。