萌 香 の コ ン テ ス ト
ミステリー 部 門 参 加 作 品
【 天 国 】
天 上 の 理 想 的 な 世 界 。
【 地 獄 】
仏 説 で 生 前 悪 い 事 を し た 者 が 死 後 に 落 ち て 、 苦 し み を 受 け る と い う 所 。
【 閻 魔 王 】
イ ン ド 神 話 で 、 正 法 ・ 光 明 の 神 。
後 、 死 の 神 と 考 え ら れ 、 仏 教 で は 冥 界 の 王 、 地 獄 の 王 と し て 人 間 の 死 後 に 善 悪 を 裁 く 者 と さ れ る 。
閻 魔 。 閻 魔 大 王 。
天国だの地獄だの物心付いた時からそんな確証の無い言葉を口にする輩が居た。
‘ 地 獄 に 堕 ち ろ ’
とか
‘ 御 前 、 地 獄 行 き じ ゃ ん ’
とか
其の地獄とやらは本当に存在するのでしょうか。
見た事も体験談を聞いた事すらも無い癖にベラベラグダグダと地獄について身勝手に語る貴方々は一体何様のつもりでしょうか。
貴方々が其の言葉を知ったのは絵本や漫画、テレビ、親が使う脅しの言葉、そんな所でしょうか。
其れとも単に何処かの誰かが使い出したからという何とも軽々しい理由で意味も解らず使ってみているだけでしょうか。
こんなモノは凡て愚問でしょうか。
さて、よく耳にする話だと
地獄に堕ちるには条件が有るそうで。
仏教の教えとは相容れない考えを説き、
また実践すると宜しく無いと聴きます。
簡単に言うと
殺 生
盗 み
邪 淫
飲 酒
妄 言
邪 見
此れらの行為をした者。
は ー い 、 其 処 の 塵 共 。
今 直 ぐ
地 獄 に 堕 ち て 下 さ ー い
青春を謳歌する筈の女子高生が教室の隅でそんな事を脳内で叫喚していたら、クラスメイトは引いた顔をするか多少なりとも地獄という存在に脅えるか。
心底、気になる。
熱湯に突っ込まれて煮っころがされたり
猛火の中に入れられてみたり
悲鳴を挙げても針を飲まされ続けたり
何と辛く、酷く、
‘ 罪 人 ’ に最適な場所でしょう!
「 ねえ人のモノ盗んで楽しー? 」
教室の隅で所謂虐められっ子の財布を盗み気味の悪い笑みを浮かべるクラスメイト。
否、他人。檻の中のドウブツ。地獄の囚人。
「 何の話?笑 」
成程。
貴方々の性格は良く良く理解した。
そんな素晴らしい程に醜く見憎い貴方々には
地獄行きの切符でも差し上げましょう。
「 んー別にー?笑 」
可哀想な虐められっ子は教室に入っても何も気付いていない様子で休み時間を過ごしていた。
気付かない貴女も貴女。
地獄の囚人のひとりが彼女に声を掛けた。
‘ 購買に行かない? ’ と。
彼女は少し迷って笑顔で承諾した。
当然の様に鞄の中から財布を取り出そうとする。
既に無いモノを。
焦った様な、不思議そうな表情で虐めっ子を苛立たせない様に必死に探す。
「 あの、御免 …
今日お財布忘れちゃったみたいで … 」
「 あ、まじー?笑
全然貸すから気にしないで! 」
申し訳無いからと執拗に断る彼女は理解しているのだろうか。
眼の前の女が主犯で、周りで気持ちの悪い笑みを浮かべてる塵共は其の仲間だと。
「 … 阿呆らし 」
誰にも聴こえない声量で呟いて嘲笑った。
虐めっ子と虐められっ子が揃って購買に行った時隠されていた財布を手に取ってみる。
彼女にはどうも似合わない少し高めのブランド物だった。
可愛らしいデザインも似合わない。
やたら気に入っていたのか年季も入っていた。
仕方が無い、返してやろう。
私にしては珍しい判断をした。
否、今迄も散々手助けしていた。
馬鹿みたいに。
「 借りた分、明日返すね、!
有難う!笑 」
賑やかな声の中に感謝を伝える彼女の声が混じっていた。
其奴等には罵詈雑言が似合うのに。
「 は … ねぇ、財布消えてんだけど 」
彼女には聴こえないようにヒソヒソと不愉快な焦りを顕にしていた。
彼女の財布は既に私の鞄の中。
超安全地帯。
彼女は此れで満足でしょうか。
塵共は此れで欺けたでしょうか。
「 ねぇ、ちょっと 」
帰り道、独り淋しそうな背中が見えて小走りで追い掛けた。
「 ぇ … ?わ、私ですか? 」
「 あーうん、此れ落ちてたよ 」
嘘 吐 き
差し出した財布を見てぱあっと顔を明るくした。
其れ程迄に大切だったらしい財布を持って嬉しそうに帰って行く。
明日は平和でしょうか。
私の小さな願いも塵の如く。
「 私の、お財布が無くなっちゃって、 」
態々泣きそうな声を出すなんて、
其れはまあ名演技ですこと。
虐めっ子の癖に。
地獄の囚人が何ボヤいてんだよ屑。
そんな暴言を何時も通り脳内再生。
カワイソウ!
ダレガハンニンナノ?
サイテイ!
そんな言葉を投げ掛けてあげれば御満悦?
嗚呼、其れじゃあ言ってあげるよ。
アンタが心ゆくまで。
「 人の財布盗んどいて何言ってんの?
演技までしちゃってそんなに人を恨むの愉しい?愉快愉快って笑ってんの?
あー不愉快極まり無いわ。
どうせ其の子の鞄の中に自分の財布を入れておいて自作自演?笑
何れ丈、地獄に堕ちたいのか知らないけど
自己満足に他人巻き込んでんなよ。 」
一度に捲し立てられた言葉に塵は怒り狂うより先に唖然とした。
まるで有り得ないモノを見るかの様な眼で。
どうやら私は塵にとって無害な人間と判定されていた様で。
「 カ ワ イ ソ ウ 」
は い 、 御 満 悦 ?¿
話を戻しましょうか。
こういう輩はどうせ将来もろくな事をしない。
社会の御荷物。塵。
そんな風に言われて生きていく。
一概にそうだとは言わない。
何だって其奴の努力次第。
でも、
変わんねーよ。
屹度、塵共を法律で裁く事は此の先無い。
狡賢く、見憎い生き方をする此奴らは裁かれる程の価値も無い。
人生なんて早々に切り上げてしまえば良い。
そ し て 私 に 殺 さ れ て し ま え
息の根、止めてあげるね。
さて、
私が裁かれるべきでしょうか。
塵共が裁かれるべきでしょうか。
其の両方でしょうか。
閻 魔 サ マ 、 罪 人 を 裁 い て よ 。
閻 魔 サ マ
ア ナ タ 、 ゴ マ ン エ ツ 。
𝐹𝑖𝑛.
コメント
26件
さすがに愛した カタカナ + 伸ばし棒 + ビックリマーク の所が狂気感じてめちゃくちゃ好き 虐めを裁けない法の代わりに、閻魔様に裁いてって言ってるの天才すぎた しかもさ、虐められっ子でも虐めっ子でもなく第三者の視点で書かれてるの流石に好き 必要悪の具現化って感じの主人公ちゃん好きです ルビも安定に好きだし、書き方とかもめちゃくちゃ大好きだったらぶ🫶🏻🤍
ねえすきだ!!!!! ルビのちっちゃい文字、斜め文字、空白文字のとこが拘り感じるしやっぱルビの天才だよ 恋愛かコメディ×ミステリーとかミステリーは見たことあったけどこんなにもミステリー!は初で沼る( りんちゃが意味書く単語に沿う系ノベルがどタイプ💘 セリフ数めーちゃ少ないのにセンス光りまくっててミステリー感が凝縮されてるのすき ミステリーって時間経ってから読むと意味わかんねえってやつ多いから尊敬