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<遠廬します>
 兎「えーなんでよ」
 <・>
 出来ないんだよ、、、
 <出来ないから>
 兎「なんで?」
 <声が>
 「声の出ないお前になにができる」
ばきン
力を入れすぎたせいで、細い小枝は呆気なく折れた。
 <ごめんなさい>
 兎「?なんで謝っ」
薙音、、
 薙「ごめんね部活長引いちゃって」
 (大丈夫)
 かすれもしない無音のために口を必死に動かす。何故か今まで以上に惨めな気持ちになった。
 薙「寒かったでしょ、ごめんね、冷えてない?」
 (大丈夫、薙音こそ大丈夫?)
 薙「うん大丈夫、あー!もう兄さんマフラーは?手袋だけじゃ冷えるよ 」
 (ごめん貸しちゃった)
 薙「もうお人好し!」
 (ごめん)
 傍から見たら薙音の独り言に見えるんだろう、木兎さんの目が物語っている。
 薙「ごめんって言い過ぎ、怒ってないよ」
 (そっか、ありがと)
 兎「……ネネごめんなんて言った?」
 小さい呟きに薙音の目の色が変わる、鋭く酷く冷たい目で木兎さんを見る。
 薙「誰ですか?兄さんの知り合い?それにそのマフラー…」
 気付けば薙音は俺を護るように立っていた。
 弟に護られる兄なんて情けない。
 兎「オレネネの友達!木兎光太郎!よろしくな」
 薙「友達?兄さんほんとに?」
(ちがう)
薙「こう言ってますけど…」
 兎「え、?なんて言ったの?」
 薙「はぁ」
 やめなさいため息
 薙「友達じゃないみたいですよ」
 兎「え!友達じゃん」
 そういう木兎さんはグイグイ顔を近づけてくる。
 意思疎通の手段を探しもう一度小枝を拾い文字を綴る。
 <今の俺に友達なんていちゃいけない>
 兎「……?」
 なんだよその顔
 兎「さっきから変なの。なんで?ネネは声が出ないだけじゃん?友達がダメでもバレーが出来ない理由でもない。」
 それでも、ダメなんです。
 人を傷つけた俺が好きなことをやる資格なんてない。
 ………
 流れる沈黙が冬の寒さに消えていく、そんな中小さな息をする音が響いてくる。
 薙「兄さん…バレー好きなの?」
 (…うん)
 薙「俺に付き合ってただけじゃなくて?」
 (うん)
 どうして言わなかったんだろう、言えば薙音に気なんて使わせなかったのに。
 なんてね……もう遅
 え?
薙音、何その顔
 同じ顔、やめてその顔
 あの人同じ、
 “オレのソロはお前に”
ちがっ
 薙音、薙音、やめてお願いお願いお願い
 音「ごめッなさッッ」
 パシっ
 手のひらが暖かい感触に包まれる。
 小さい頃繋いでいたはずのその手は前よりもずっと大きくゴツゴツした手になっていた。
 薙「じゃあやろ!練習じゃないほんとのバレー!」
(え?)
薙「ずっと、してみたかったんだ。兄さんと」