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第10話(いずく視点)
最近、
一人で考える時間が増えた。
みんなが優しすぎて、
強すぎて、
真っ直ぐすぎて。
……それに、
僕のせいでぶつかっている気がして。
(僕が、ちゃんと向き合わないと)
校舎裏のベンチに座って、
僕は空を見上げた。
かっちゃんは、怖い。
怒鳴るし、強引だし、
感情を隠すのが下手で。
でも。
昨日、謝ってくれた。
あのかっちゃんが、
言葉を選んで、
「悪かった」って。
(かっちゃんは、僕を下に見てるわけじゃない)
むしろ、
隣に置こうとしてくれている。
独占欲が強すぎて、
やり方が不器用で。
でも――
(離れたら、たぶん一番苦しむのは、かっちゃんだ)
胸の奥が、きゅっとなる。
これって、
心配、だけじゃない。
兄で、
双子で、
一番近い存在。
守ってくれるのが当たり前で、
安心できて。
でも最近、
その「当たり前」が揺れている。
屋上で見た焦凍の目。
兄としてじゃない、
一人の男としての視線。
(焦凍が、迷ってる)
その迷いの中に、 僕がいる。
それが、 怖くて。
でも。
(それ以上に、嬉しかった)
触れられた手の温度を、
まだ覚えている。
いつも明るくて、
軽くて、
場を和ませてくれる人。
でも。
訓練の時。
廊下で怒った時。
上鳴くんは、
誰よりも僕の感情を見ていた。
「嫌がってる」
「怖がってる」
それに、
一番早く気づいた。
(僕を、“一人の人間”として見てくれてる)
笑顔の裏に、
真剣な想いを隠しているのを、
知ってしまった。
それが、
胸に残る。
まっすぐで、
強くて、
優しい。
一緒にいると、
自然体でいられる。
訓練で、
背中を預けた時。
「いずくは、そのままでいい」
そう言ってくれた。
(あぁ、この人は……)
支えようとしてくれるんじゃない。
並ぼうとしてくれてる。
それが、 とても嬉しかった。
考えれば考えるほど、
胸が苦しくなる。
(おかしいな)
誰か一人なら、
分かりやすいのに。
でも。
かっちゃんの不器用さが、
焦凍の迷いが、
上鳴くんの優しさが、
切島くんの真っ直ぐさが。
全部、 心に残っている。
「……好き、なんだ」
ぽつりと、声に出した。
誰に、じゃない。
4人のことが。
それぞれ違う形で、
それぞれ違う距離で。
でも確かに、
恋として。
(どうしたらいいんだろう)
答えは、まだ出ない。
でも。
逃げちゃいけない。
みんなが向き合ってくれたように、
僕も――向き合わなきゃ。
立ち上がる。
胸は、不安でいっぱいで、
同時に、少し温かい。
(僕は……)
選ぶためじゃなく、この思いをみんなに伝えるんだ。
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