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「律くん、おはよう」
柔らかな声がロビーに響いた。振り返ると、髪をきれいにまとめた女性が立っていた。制服の着こなしは完璧で、落ち着いた笑みには余裕が漂っている。
「柊木先輩……! おはようございます」
普段はそっけない律が、声を和らげる。その表情は、先ほどまでとはまるで違っていた。
「新人さんの教育係に任されたって聞きましたよ。大変でしょう?」
「ええ……まあ。でも、頑張ります」
律が少し照れくさそうに視線を落とす。
横に立つ華は、思わずその顔を見つめてしまった。
自分に向けられるときとは違う、柔らかな笑み。胸の奥に小さな違和感が残った。