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神だ……神だ………
※薬物系(二次創作と現実を区別して見てください)
今日、兄さんにまたクスリのことを注意されてしまった。
僕は奇声を上げることはないけど、暴れてしまうみたいで、物音がすごいんだって。
クスリが抜けた頃には部屋はぐっちゃぐちゃだし、まあ騒音もひどいよね。
兄さんはいい加減やめろって言うけど、ヤク中なんだから無理に決まってる。
「…そーだ」
兄さんにも体験させてあげたらいいんだ!
カナダはアメリカに薬をやらせるという目標ができ、計画を立て始めた。
鳥の鳴く深夜、カナダはアメリカの部屋に侵入した。
不用心な兄は部屋の鍵を閉めておらず、窓を割らなくて済んだようだ。
起こさないように縄で拘束し、首元に注射針を宛てがう。
「これで兄さんもわかってくれるよね」
ちゅ〜〜〜っと液体が減っていくのを見て、カナダは穴だらけの腕が疼いた。
「…ぅ…ん…?」
違和感のせいか、アメリカは目を覚ます。
サングラスがないので、普段は見れない澄んだ青い瞳が現れる。
「Good morning〜,bro」
注入する手は止めないまま、カナダはにこやかに挨拶した。
これからキマるであろう兄はまだ状況が飲み込めていないのか、呑気に挨拶を返している。
「…なぁ…何してんだ…?」
「ん〜、兄さんにわかってもらおうとしてる」
「…は…?」
「もうすぐ効いてくるよ」
注射針を引き抜くカナダ。
アメリカは自覚し始めた痛みと、胃の中から迫り上がってくるような気持ち悪さに何かを察した。
「あ…ぁ…お、まえ…!」
ガバッと起き上がり、青ざめて恐怖に満ちた顔を見せる。
「何かあってもだいじょーぶ!大怪我の前に僕が止めてあげるから!」
「ち、ちが…ぁ…」
突然、視界に火花が散った。
『おまえのせいで』
『みんなしんだ』
『ふこうになった』
『いきるかちなし』
「ぁ、やめろ…ちがぅ…おれ、は…おれは…」
『何が違うんだ?米国』
「に、って…」
『この傷を見ても、お前は悪くないと言うのか?』
聞き覚えのある声と、見覚えのある服装 。
太平洋戦争で、アメリカが負かした国であった。
帽子を取り、焼け爛れた顔や、ちぎれかけた耳を見せつけてくる。
その腕は服と同化しているように溶けていて、あまりに酷い傷だらけだった。
なによりも釘付けにしたのは、白く光を映さない瞳孔。
放射能による白内障や熱で、眼球が傷ついているのだ。
すべて、アメリカがやったことのせい。
「ごめ、なさ…ちがう、あれ、は…おまえが…」
『お前はいつもそうだ。誰かのせいにし続け、当人は放ったらかし。親御さんにそっくりだな』
喉が焼けてあるからか、日帝の声はガサガサとしていて聞き取りづらい。だが、なぜか全てが聞き取れる。
あの日見下した死体に見下され、アメリカは取り乱す。
一方カナダは、虚空を見つめる兄を見つめ続けた。
ガタガタ震える手を伸ばしては下げ、謝罪の言葉を口にする。
どうやら幻覚と幻聴に苦しめられているようだ。
「あれ…ここまでの予定なかったんだけどな…」
ちょっと視界をおかしくして、ちょっと気持ち悪い感覚を味合わせて、言いようのない気持ちよさを感じてもらおうと思ったのに。
メキシコやジャマイカから貰ったものなのだが、全員が全員重度のヤク中であるから、加減がわからないのだ。
「かなだ、かなだ、どこっ!こわい!」
「はいはい、僕はここだよ兄さん」
「ぃや、やだ、やだやだやだ…!!!くるな!こないで!ごめ、なさい、あやまるからっ…!!」
自分から呼んだくせに、アメリカは拒絶してくる。
それは幻覚に向けられたものだろう。
カナダの赤い瞳は、生前の日帝を思い出させるだけで、アメリカは恐怖に涙している。
「こんなに弱った兄さん初めて見たよ」
心が満たされていくような、クスリとはまた違う高揚感。
これだ、これなら僕はやめられる。
兄さんが苦しめば、僕はそれだけで満足できる。
「かわいーね、兄さん」
カナダはイギリスよりも、イングランドにそっくりだ。
自分の手は汚さず、けれど確実に目的を成し遂げ、そのためならば自身を偽って他人を騙すことも難なくできる。
どくどくと激しく打ち鳴らされる心音を聞きながら、カナダはアメリカの背を撫でた。
「…っ…?」
数時間後、アメリカはようやく自我が戻ってきた。
散々泣いていたので、目が腫れている。
「あ、戻った?兄さん、元気?」
「カナダ…日帝、は…?」
「あんなのもういないでしょ?兄さんが殺したんだからさ」
「…ッ」
「なんで傷ついた顔してるの?加害者なのに」
「カナダ…俺が悪かったから、やめてくれ…」
「ごめんごめん、ちょっとからかいすぎたよ」
優しく撫でるカナダは、自分にクスリを投与してきた犯人とは思えない。
(…きもちわりぃ…)
「じゃあ兄さん、おやすみ」
アメリカに、大きな衝撃が走った。
あれから数ヶ月、カナダはクスリをやめることに成功した。
始めたきっかけは「毎日がつまらなかったから」らしく、充実した今では必要無くなったのだ。
「兄さん、来たよ〜」
「………」
「む…無視するなんてひどいよ」
「……ごめん」
「いいよ。兄さん、これほしい?」
カナダは注射器をちらつかせた。
「…いらない」
「ほんとはほしいでしょ?」
アメリカが苦しむ姿に心を満たされたカナダは、こうしてアメリカを監禁し、強いクスリを無理矢理与えていた。
「いらないって…」
「嘘つかないでよ。ほんとは気持ち良くなりたいんだよね?もう何回もやってるんだからさ、一回増やしても問題ないって」
「…いらない」
「あぁそう。まあいいけど」
「!いらないって言っただろ!」
断るアメリカを無視して、カナダはアメリカの腕を引っ張った。
そして注射器を近づけ、中のものを注入する。
「い、いやだ!やめろカナダ!!」
「暴れないで。針折れるよ」
「やだやだやだ…もうやめてくれよ…!」
「兄さん、だーいすき!」
幻覚に苦しむアメリカを、カナダはギュッと抱きしめた