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グラウンドに太陽が照りつける午後。
体育は持久走。女子も男子も同じコースを走る日。
あなたはスタートの笛と同時に走り出したけど、最初から呼吸が浅い。
足取りも重い。喋る余裕なんてない。
(痛い…でも、みんな走ってるし止まれない…)
お腹がズキッと締めつけられるたび足が止まりそうになる。
腰まで重くて、熱くて、息まで苦しい。
そんなあなたを、後ろの方から走っていたロウはすぐに見つけた。
「……おい。あいつ今日様子違くね?」
男子の友達が言う。
ロウは返さず、速度を落としてあなたに追いついた。
肩が上下して、顔色は真っ白。
汗じゃなく、痛みに耐えてる表情。
「〇〇、ちょっと。」
呼びかけられても答えられない。
ロウは横目で周りを確認しながら歩きに変えた。
あなたが止まるまで、同じ速度で並ぶ。
「走れそう?」
小さい声で聞くと、あなたは苦しそうに首を振る。
それを見て、ロウの眉が少し寄った。
「……生理、だろ?」
あなたは驚いて目を見開く。
否定もできない。喋る気力もない。
ただ、恥ずかしさで視線が下を向いた。
ロウは溜息じゃなく、気づけなかったことへの悔しさみたいな息を吐いた。
そして、静かに言う。
「もう走んなくていい。」
「……でも、評価……」
震えた声に、ロウは即答した。
「俺がどうにかすっから。」
足が止まった途端、あなたの身体がぐらつく。
ロウはすぐ腕を伸ばして支えた。
「ほら、無理して倒れんのが一番ダメ。」
その声は優しいのに、逆らえないくらい真剣だった。
先生に見られない位置まで歩いていきながら、
ロウは自分のジャージを脱いであなたの腰に巻く。、
「これでちょっと温かくなる。……あと、万が一漏れてても隠れる。」
気が利きすぎて余計に泣きそうになる。、
ロウはあなたが座れそうなベンチまで連れていき、ゆっくり座らせた。
しゃがんで目線を合わせると、
「……痛いの我慢すんなし。」
あなたの指先が震えていたから、
ロウはそっとその手を自分の手で包む。
「俺、〇〇のことちゃんと見てたい。
気づいてあげたい。支えたい。」
走り続けるみんなを横目に、ロウは続ける。
「だから……頼れよ。」
ゆっくり、優しく撫でる声で。
「生理痛で苦しい時くらい、強がんな。
俺がそばにいる。」
その言葉に、あなたの目から小さな涙がこぼれる。
ロウはすぐに指で拭って、
「泣くな。痛み増す。」
少し照れた顔で言う。
そして最後、小さく笑って、
「放課後、ココアでもなんでも好きなもん奢ってやるよ。歩けなかったら背負う。」
そう言って隣に座り、
あなたが落ち着くまでずっと手を握ってくれていた。