『カイドウ!すげぇよお前!』ボロボロのカイドウに駆け寄りながらアマガサはそう叫んだ。
『おう…アマガサ、モンテロとゴウショウの遺体は回収したか?』『あぁ、しっかり埋葬してやんねぇとな』運ばれてきた二人の遺体を見てアマガサはそう言った。
『これからおでんの処刑を行う、その間に船員供に墓を作らせとけ』『わかった』そうしてモンテロとゴウショウは鬼ヶ島に埋葬された。
それから数日後おでんの処刑が行われた。
(あれだけの釜揚げ地獄を絶えなくとは本当に恐ろしい男だ…光月おでん)『赤鞘達を追えー!』アルベルは船員を引き連れ逃げた赤鞘九人男を追おうとした。
『アルベルその辺にしておけ!もう復活することはないだろうよ』『アマガサ!コイツらだけはダメだ!お前も分かっているだろう!?』それを聞いたアマガサは渋々『そうだな』と言いアルベルを止めはしなかった。
その後百獣海賊団達の手によりおでん城は全焼した。
(昔のカイドウよりも過剰に報復するようになったな…)花の都から煙が立つおでん城の方を見てアマガサは心の中でそう呟いた。
後日鬼ヶ島ではモンテロとゴウショウの葬儀が行なわれた。
おでんに切断された部分は誰かが接合してくれたらしい、とても綺麗に整っていた。
『お前には…グスン!生きていて欲しかった!』サイエンはモンテロを見て泣きながらそう叫んだ。
『会ってちょっとしか経ってねぇけど、とんでもねぇ男だったよ、鋼鉄のゴウショウ…』アマガサもゴウショウに花束を添えながら労いの言葉をかける。
そうして葬儀が終わると幹部以外の船員達はその場を後にした。
そして重い空気の中突如カイドウが口を開く。
『今回の決戦で俺たちは多くの犠牲を出してしまった…涙に明け暮れてぇところだが今すぐにでも戦力を補充する必要がある』それを聞いたアマガサはカイドウに対し『なんか目星ついてるやつでもいんのか?』と答えた。
『シャボンディ諸島のヒューマンショップで自ら脱走し、増援の海軍を返り討ちにした男が三人いると聞いた』(海軍本部も近いってのにやるなぁそいつら)それを聞いたアマガサは心の中で期待を膨らませる。
『じゃ、そいつらスカウトしに行くんだな?誰が行くんだよ』それを聞いたカイドウは『俺とアルベルとカグラで行く、アマガサとサイエンは留守を頼む』と答えた。
『なるほどな、でお前はどうするんだハナフダ?』『俺たちはまた海に出るよ、なんか良いもんでもあったら持って帰ってきてやるさ』そうして次の日の早朝ハナフダ率いるレックス海賊団はワノ国を後にした。
それに続きカイドウたちも出航しようとする。
『そういやアマガサ、キョウはどうだ?』『あぁ、アイツなら鬼ヶ島で一人で刀を振ってるよ、将来はおでんみたいになるかもな』そう言ってアマガサはカイドウ達を見送った。
一方鬼ヶ島では〜
『キョウお坊ちゃん!そろそろ休憩にしませんか〜?』『うるさいぞサイエン!俺はまだ10万回素振りをする』サイエンに見守られながら刀を振る一人の青年がいた。
(カイドウさんに似ず真面目に育ったもんだ)サイエンは心の中で密かにぼやく。
『キョウ兄!まだ素振りしてるの!?』そこへ昼寝をしていたヤマトが駆け寄ってきた。『おぉ!ヤマト!お前もやるか!?』『やめなさい!キョウお坊ちゃん!幼子によって素振りをやらせるのは危険だ!』それを見たサイエンは慌ててそれを静止する。
『相変わらずお前じゃ手に余るようだなサイエン、手伝ってやるよ』『だってよ〜アマガサさん!普通の子供とは違ぇんだよ!』サイエンは不機嫌そうにそう叫んだ。
(一応コイツもフラムを10歳くらいまで育ててたな…)アマガサはその言葉を聞いてカティ・フラムのことを思い出す。
『キョウのことは俺が見るよサイエン、お前はヤマトを見といてくれ』『恩に着るぜ!アマガサさん!』そうしてサイエンとヤマトは鬼ヶ島のドームから出て庭に向かった。
『キョウ!お前も立派な青年だ!一度俺と木刀で立ち会ってみるか?』『アマガサ爺の得物はいつも金棒だ、木刀で大丈夫なのか?』この頃アマガサは百獣海賊団で最年長ということもありキョウからは爺と呼ばれていた。
『なーに、大丈夫に決まってんだろ』そう言いアマガサはキョウに向かって木刀を投げると、キョウはそれをガシッと掴んだ。
(爺…か、俺ももう50くらいだもんな…)心の中でそう呟いたアマガサはその直後大きく地面を蹴った。
『受け止められるか!?』アマガサはキョウに向かって木刀を振りかざす。
カキン!キョウはそれをしっかりと受け止めた。
(性格と違って戦闘能力はカイドウの血をちゃんと引き継いでるな)『爺だってそんなものか!?』ドンッ!その瞬間キョウの横凪がアマガサに命中する。
(百獣海賊団に相応しい器だ…)アマガサは痛みを堪えながらキョウの未来の姿を頭の中で描く。
『やるじゃねぇか』そう言いアマガサは木刀を放り投げる。
(肋骨…イったな…)アマガサは正直キョウの強さに驚いていた。
『爺も流石だ!だがもう俺の方が上かもな』(こりゃサイエンも手こずるわけだ)そう思ったアマガサはその場に腰を下ろした。
『ま、そろそろ休憩しようぜ!キョウ!オロチから良いもんもらってんだ!』そう言いアマガサはキョウに熟れた柿を渡した。
『これは美味そうだな!』そう言いキョウはその柿にかぶりつく。
『モグモグ…ん?アマガサ爺!この柿はずいぶんと渋いぞ!』『冗談言うなよお前らしくもない、ちょっと見せてみろ』そう言われたキョウはアマガサに柿を渡した。
(おいおい、オロチどういうつもりだ?俺がこれを食ったら間違いなく死んでた)そう思ったアマガサはキョウにその柿を投げ返してこう言った。
『キョウ、お前が食ったのは柿じゃねぇ、悪魔の実だ』『アマガサ爺!なぜそんなものを俺に食わせた!?』それを聞いたキョウはアマガサに怒号を飛ばす。
『俺の故意でやったわけじゃねぇ!今すぐ俺と共に花の都へ行くぞ!』そう言い二人は鬼ヶ島を後にした。
花の都にて〜
アマガサはオロチ城のオロチがいる間の襖を蹴破った。
『おい!どういうつもりだオロチ!?』アマガサはオロチに向かって怒号を飛ばすと周囲を睨んだ。
『チッ!』(な!?コイツ今舌打ちをッ!?)そうしてアマガサが再度怒号を飛ばそうとするとそれを遮るようにオロチが『いやぁ〜家臣に何かアマガサたちに戦勝祝いをやりたいと言うとこれを柿と言って持ってきてのう!目が腐っているようだから処分しておいたぞ!』そういいオロチは男の生首をアマガサ達に見せつけた。
(コイツッ!)アマガサが金棒を構えようとした瞬間、オロチの家臣がそれを静止した。
『将軍の前であるぞ!』そう言われたアマガサは渋々金棒を下ろす。
『これは失礼した、じゃあ俺たちはこれにて』『良いのか?礼として新しい柿をくれてやってもよいぞ?』オロチはアマガサたちを留めようと声をかける。
(コケにしやがって!)アマガサ達はそれを無視してオロチ城を後にした。
鬼ヶ島へ戻るとサイエンが猛ダッシュで駆け寄ってきた。
『アマガサさん!どこ行ってたんすか!?』アマガサは今までの経緯について話した。
『オロチのやつ!今すぐにでも殺りに行きますか!?』『いやいいんだ、だがこのことはカイドウに伝えねぇとな』そう言ったアマガサはキョウの方を見た。
キョウは相変わらず素振りをしていたが体から炎が立ち昇っていた。
(なんか燃えてね?)炎を鎮火しようとアマガサは金棒で強風を引き起こした。
『嘘だろ!?消えねぇ!?』キョウから立ち昇る炎は消えるどころかより一層強くもえ上がった。
『鬼ヶ島内の書斎に悪魔の実図鑑があったはずだ、そこで何食ったか確認してみるか』そう言いアマガサ達は書斎へ向かった。
『なるほど、ネコネコの実 モデル唐獅子ねぇ、当たりの実食ってんじゃん』そう言いアマガサはキョウを笑顔で見つめた。
『そろそろキョウお坊ちゃんも前線に出るときですか!?』サイエンも嬉しそうに叫ぶ。
『そうだな…よし!サイエン!ワノ国を頼む!キョウ!俺と共に少しの間海に出るぞ!』『えぇ〜!アマガサさん!何言ってんすか!?』サイエンは驚いた表情でそれを止めようとする。
『まぁ頼むよ、それじゃ行くぞキョウ!』そうしてアマガサはキョウを引き連れ海に出るのであった。
第15話 完
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