コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
29
一試合ごとに休息を挟みながら、試合は続いた。リィファとジュリアは危なげなく勝ち進んでいった。
日が陰り始めた午後四時半、休憩時間の終了を告げる審判の声がして、二人は中央に赴いた。今や五十人ほどの観客の全てが、決勝戦の舞台に集っていた。
「リィファちゃん、約束を守ってくれてあんがと。今度はあたしが約束するね。リィファちゃんに、最強はカポエィラ――もとい、あたしだって、テッテーテキ(徹底的)にわからしたげるってさぁ」
舞台の向こうから、ジュリアが強烈な視線を向けてきていた。声音は、いつになく重かった。
(大袈裟に宣言して、相手を圧倒しながら自分を勇気付ける、か。勝気で元気なジュリアちゃんらしい入り方だよね。でもわたしは、ジュリアちゃんのペースには巻き込まれないよっ!)
気持ちを整えたリィファは、おもむろに目を閉じた。丹田(臍の下)を意識しながら、大きく深呼吸をする。
開眼したリィファは、「よろしくお願いします!」と思いっきり頭を下げた。「よろしく!」と、ジュリアから気合の叫び声が返ってきた。
「始め!」声が高らかに響いて、二人は同時に動き出した。