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『律儀だね』
そう静かに笑う貴方は、私が持って来た洋菓子の箱を受け取った。
私はその行動に唖然としてその場に立っていた。
『どうしたの?イギリス』
彼は立ち尽くす私に不思議そうに声を掛ける。
『…いえ何も、先日助けてくれたお返しを渡しに来ただけです』
そう言い私は頭を下げた。
先日私は知らない男数名に、いわゆる誘拐に近い行為をされそうになっていた。
そんな私を、通りすがりではあるがフランスに助けてもらった。
『そっか、でもあれは誰だって助けるよ、あんな危ない事されたらさ』
そう言ってクシャッとまた静かに笑う貴方を見て、私は嫌に胸がモヤッとした。
いつもは迷惑な程に元気で明るく笑う上、茶化す貴方なのに、ここ最近の貴方はどこか疲れているように見えます。
『…じゃあもう帰りなイギリス、もう夕方だし、すぐ暗くなっちゃうよ』
『いや、まだ帰りません』
私はフランスの言葉に即拒否を表した。
えっと、フランスは驚くように目を見開く。
『貴方…貴方最近元気がないように見えます、だから今日一日私、貴方の家に泊まる事にします』
私がそう言うと、フランスはもっと驚いたように目をもっと見開いた。
『いや!なんでよ急に、僕は本当に大丈夫だよー…』
だがフランスはまだ懲りもせずそう笑うものだから、私は小さく舌打ちを打ってフランスをグイッと引っ張った。
そしてフランスの頬にキスを落としてやった。
『…えっ』
フランスの情け無い声が聞こえる。
私はフッと笑う。
『何とぼけた事言っているのですか?嘘つかないで、私と貴方何年付き合いがあると思っているのですか?』
私がそう言うと、フランスはまたあのクシャッと笑う笑みを浮かべる。だが先程より嬉しそうな笑みだ。
『あー…あはは、やっぱり君には勝てないなぁ』
その言葉にもどこか、嬉しさが混まれているように聞こえた。
end