「まずい…」
みりんは、そう呟いた。
あの声は絶対に 結花たちの班だ。
結花の取り巻きも入るから揉め事になるに違いない。
「まず、落ち着いて露天風呂にはいろう」
みりんは冷静な声で呟いた。
「でもこのはと仲良いから別にいいんじゃ…」
「だめよ。」
ふゆなの質問にみりんは即答だった。
「何されるか分からない…いくらなんでも依存が激しいのよ」
「そうだねぇ」
ふゆなも納得した顔で隣の班の様子を見ていた。
「あっきた」
ふゆなはぼそっと呟く。
結花はキョロキョロしていた。
きっと私たちを探しているだろう。
「結花〜何キョロキョロしてんの!」
取り巻きたちが結花につっこむ。
「えぇ〜だってこのっちがいないもの♡」
結花の発言に私たちは驚いた。
「やばい…本当に来るかも…」
みりんは焦っていた。
「このっちって金田さんのこと〜?仲良かったっけ〜?」
取り巻きたちはそう聞いた。
「そうよっ、でもあの子ったら反抗期なのかしら!私とは別の子と仲良くしてのよ〜」
結花は誇らしげに言っていた。
私はイラッときた。
「別の子って、佐藤さんとふゆなちゃん?まあ仕方なくない?そんなことで嫉妬しちゃうの?」
取り巻きは小馬鹿にしたような感じで聞いていた。その発言に結花はお怒りのようだ。
「黙ってくれる?私とこのっちは本物の仲なわけ、それを邪魔するヤツらが現れたのよ」
私はイラッとして歯を食いしばった。
「むかつく…」
つい本心がぽろりと出てしまった。
「やっぱり、幼馴染でもムカついちゃうよね!」
ふゆなはほっとした顔で言った。
「このはがこの状態で怒ってなかったら心の広さ宇宙かよ…って思っちゃう」
みりんもふふっと笑った。
「これはムカつくよ…」
私は結花とは幼馴染のふりをして言った。
「よし、今みんな洗い始めた。今のうちに逃げよう」
みりんはそそくさと立ち上がりふゆなと私を引き連れて着替え場所に向かった。
「ドライヤーする時間ある?」
美容重視のふゆなが聞く。
「あるけど…なるべく早くね」
みりんも慌ただしい様子だ。
なんとか隣の班にバレずにお風呂を上がることが出来た。次はお待ちかねの「消灯」の時間が来た…。
21時30分消灯だ。
「このまま寝るのも面白くないよね」
ふゆながニヤッとして言った。
「本当は寝たいところだけど、今は優等生辞めていいかな」
みりんはふふっと笑いながら呟いた。
「みりんも最後の修学旅行!盛り上がろうよ!」
私も嬉しくなって枕に埋まった。
「うんうんっ、じゃあ早速やっちゃう…?」
ふゆなが小悪魔的笑みで聞いた。
「やろやろ」
みりんもニヤニヤしながら言う。
私にはその「やる」が分からなかった。
「なにを…?」
私はビクビクしながら聞いた。
変な怖い儀式とか…やらないよね?
「もー、鈍感にも程がある!……恋バナだよっ♡」
ふゆなはくすくす笑いながら私に近寄った。
私は真っ赤になった。好きな人なんて…言えるわけっ
「んー、ジャン負けからスタートね」
ふゆなは、にやにやしながら最初はグーっと言った。
「うわ〜あたしからじゃん!最悪ぅ!」
順番は ふゆな、みりん、大トリが私 。 となった。
緊張しないからまだ…。
「私の好きな人…このはには言ってなかったよね」
いつものおバカキャラとは違って乙女顔になっていて私は思わずびっくりした。
「何となく察しついてると思うけどね」
みりんはぼそっと言った。
「うん…違うと思うけど…」
私は息を飲んで聞いた。
「高谷さん…?」
そうすると、ふゆなは「んんん〜///」と叫んだ。
「そうよっ、そうよっ!高谷が……大好きなの!」
ふゆなは、素直にいった。
「じゃあ、高谷やろーとの修学旅行でのラブラブエピソード教えて?」
みりんはヒューヒューいいながら、聞いた。
「今日……おみくじ引いた時ね、高谷が大吉だったの…。その恋愛欄を見てこういったのっ、」
乙女全開のストーリーに私までドキドキした。
「なになに〜?」
恋バナしてる時はみりんとふゆなが入れ替わったみたいな状態だった。
「恋愛…実るでしょうだって!今日告ってもいい?って言われたの…。」
そのときみりんと私は「ヒャーー!!」と叫んだ。
「らぶらぶぅ!!!」
みりんはお酒に酔っ払ったくらいのテンションでふゆなのことを叩いた。
「もう付き合いなよ!!で…返事は?」
私はにやにやしながら聞いた。
「恥ずかしくて…逃げちゃった」
ふゆなはてへっといった。
「勿体なーい!そのままだったらいい感じだったのに〜!」
みりんは布団をじたばたさせて言った。
「はいはい、私の恋バナは終わり、次、みりんの番。」
ふゆなは恥ずかしくなったからか逃げるように話題を変えた。
「…ああ、私は、恋愛感情としては見てないけど男子だったら…」
みりんが顔を赤らめてる最中ふゆなは
「長谷川っっ!!!恋愛感情とみてないって言う保険いらないから〜正直にそういう目ですきっていいなよ!! 」
いつものふゆなに戻った。
「だと思ったよ、絶対いい感じっ〜ずばり、この修学旅行でのラブラブエピソードは?」
私はにやにやしながら聞いた。
「バスの時…長谷川さん…寝ちゃって…」
私たちはなんとなく察して
「くるか、!?くるか、!?」
と結果発表のようにドキドキしている。
「私に…寄りかかってくれた」
みりんの顔はあまりにも可愛かった。優等生が見せる乙女顔は最高だった。
「何その神展開〜〜!!もう好きだってよ!!バスの座席決めた私に感謝しなさいよ〜〜〜!」
ふゆなはバシバシ叩いてそう言った。
「もーーー!いやっ、つぎ、このはの番。」
私の番が回されて、はっとした。
私の好きな人… 言わなきゃ。
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