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あれから俺は死に物狂いでころを探した
S side
あの日の朝から『抱きしめてもいいですか』と聞いてきたあの日から
ころは
俺から姿を消した
自分の衣類やこの家の鍵はおろか通帳などの私物や貴重品を置いていったまま
無くなっていたのはころのスマホと財布だけ
最初はどこか出かけたのかと思ったけど
1日待っても
3日、1週間と待っても
ころは帰ってくることは無かった
それから俺はいてもたってもいられなくなって、ころが行きそうなところを我武者羅になって探した
もちろん、行かなそうなところ今住んでいる地域を何日も何ヶ月もかけて探した
だけど
見つかることは無かった
そして俺はいつからか探すこともやめて
家で
”あの時”してしまったこと
それからやってしまった過ちを
悔いた
悔いて
悔いて
悔いて
悔いて
悔いて
次第に自暴自棄になって
顔を洗い鏡に映る自分の顔を見れば
苛立ちを覚え
簡単な調理をし1人で食べれば
吐き気が催し
あの過ちを思い出せば
気持ち悪くなって
ベッドに横になれば
孤独を覚え
この家には1人だと実感した時には
寂しさと虚しさで頬を涙が伝って
幸せそうなカップルを窓越しに見ては
あの楽しかった日々を思い出して
泣いて
怒って
恨んで
羨んで
吐いて
苦しんで
涙を止めようとしては
過呼吸になって
を繰り返していた
やっている仕事に手がつくわけもなく
仕事をやめた
幸いに貯金は沢山あったから
金の方面では苦労はしてない
最初こそ一日三食と食べていたが
次第に食べなくなり
一日に1食、酷い時は3日に1回のペース
そのような状態が半年続いた
俺は生きる意味を失い
何をするにもやる気も出ず
ただ俺の過ちを恨むだけの
廃人のようになってしまった
そんな状態の俺を心配したのか友人のるぅが
俺を精神科に連れて行った
俺は精神科に行ったところで……
と思っていだが
るぅが「絶対に通え、その方がまだ心は楽ですから」
とか圧をかけて言ってくるから
とりあえず通院はすることにした
通い始めて2ヶ月程経つが
未だにこの心の空虚感は拭えない
そして俺の過ちに対しての罪悪感も
拭えてはいない
今は通院の帰り
不必要に感じる精神安定剤を片手に辺りを見渡す
かかりつけてる精神科は街の方
行くにも帰るにも時間がかかる
それに今日は患者も多かったせいで
帰る頃には空は暗くなってきていた
帰ろうと思ったが
財布の中身が残り少ないのを思い出して
疲れでぼやっとする頭を抱えつつ
銀行に足を向けようとした
その時
ある声と姿に俺は足を止めた
『よろしくお願いします、○○さん』
「え………………?」
「なんでここに………?」
本人様関係なし