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どうしてここにお前が…
S side
俺はその光景を見て頭が真っ白になりその場に立ち尽くした
俺がずっと
ずっと会いたくて
ずっと謝りたくて
ずっと愛していたいと思っている相手が
『抱きしめてもいいですか』この一言だけを残して俺の前から姿を消した
ころが目の前にいた
厳密にはころともう1人、小太りの中年男
立ち尽くす俺の前で2人はこんな会話をしている
『よろしくお願いします、○○さん』
『へぇ、君結構可愛いのね華奢だし女の子と大差ないね』
『そう…ですかね……ありがとうございます』
『それは置いといて、早く行こうか』
『……』
『こっちだって暇じゃないんだ、さっさと返事して早く行くぞ!!』
『ッ……はい、すみません』
聞く内容からして身売りなのか援交の類か
例え援交だとしたら
ころが他の奴に抱かれる……
それにやっと見つけたのころを
また手放す…………?
正直頭が真っ白になるくらい俺は状況を理解
したくなかった
そんな俺を差し置いて2人はどこかへ向かおうとする
何かを考える前に俺は身体が勝手に動いて
「なぁ、お前ころだろ?」
と2人を引き止めていた
ころは声をかけられた瞬間に身体をビクつかせてチラッと視線を合わせぬように俺を見た
なにか思い詰めたような気まずい顔をしていた
それからころは俺に向かってこう言った
『ッ……誰ですか…………?』
『僕は貴方なんて知りません……』
『○○さん、早く行きましょう……?』
『ん、あぁ、そうだ早く行くぞ』
そう言って去ろうとする2人
俺は
気づけば
男から無理矢理
ころを引き剥がし
ころの腕を掴んで
その場から逃げた
『ぉ、おい!!!お前…巫山戯るな!!』
『ィ、痛い痛い!離して…!やめて……!!』
そんな言葉には耳も貸さずに
ただ
走った
走って
走って
『ッッ……さとくんってば!!!!!』
その一言で俺はハッと我に返った
人気の少ない周り
さっきまでいた場所とは打って変わって
とても静かだった
それから
強く
強く
握り締めていた
ころの腕を
離した
C side
『ッッ……さとくんってば!!!!!』
僕がそう言い放つと彼は
掴んでいた腕を
そっと
離してくれた
なぜこうなってしまったのか
僕はいつも通り”満たされよう”と
相手と待ち合わせをした
今回の相手が思ってたより中年で小太りで威圧的で内心拒否っていた
だけど
僕のことを可愛いと言ってくれたから
この人なら”満たしてくれる”んじゃとほんのひと握りの期待を込めて
ついていこうとした時
『なぁ、お前ころだろ?』と声をかけられた
すごく聞き覚えのある声で
聞いた瞬間に声の主がすぐにわかった
とても予想外で
会いたいようで会いたくなくて
ずっと忘れることの出来なかった
彼だった
僕は咄嗟に嘘をついた
「ッ……誰ですか…………?」と
彼のことを知らないフリ
だって
もし彼のことを
覚えているような発言をすれば
何を思うか
僕が僕だと肯定した暁に
今の僕を彼が見て
幻滅するところなんて
絶対に見たくないから
知らないふりを通した
○○について行こうとした
だけど彼はそんな僕にはお構い無しに
僕の腕を
これでもかという程に
強く握りしめて
僕を連れて
その場から
立ち去った
まるで周りの音なんて聞こえてないように
僕の拒否の言葉なんか無視して
そして今に至る
『…………ごめん』
そう彼は一言僕へ言った
本人様関係なし