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「…この森は危険だから立ち寄るなと言ったはずだろう?」
そう言って困ったように笑った神様。その言葉はあの日初めて会った日の最後に掛けてくれた言葉。
危険だからと言われても探す為に入ったことも何度もあった。けれども1日に抜け出せるのは数分だけだから見つからなかった。
「だって…会いたかったんだから…」
「しょうが、ないだろ…?」
紫苑が途切れ途切れになりながらも溢した声に漸く全てが繋がった。
「また、会いにきてくれたんだな…」
齢15、抱えるには重すぎる家という鎖と家訓という首輪に繋がれていた少年。栄養も正しく与えられていない身体は標準よりも小さく弱っている。
その小さい体を震える肩ごと強く抱きしめた。
今まで与えられてこなかった愛を、体温を分け与えるかのように深く硬く腕を離さないように抱きしめた。
「大丈夫…もうなにも怖いもんはねぇよ…」
暖かいその体温に紫苑達の涙腺から涙が溢れ出た。着物に染みを作る事など気にもせず神は抱きしめて、紫苑達は縋りつき涙を流した。
「ッ…あいたかった…」
「そばに、…いたい…」
「ぶれい、と分かってはいる…けれど…」
「ようやく…あえたんだ…」
馨、紫苑、幽、波久礼が息を詰まらせながらも神に縋りついた。俯いているその頭をただただ優しく撫でる、言葉で大切にしていると言うよりも伝えられるように。
「良いよ…」
「側にずっといる…約束しよう……」
紫苑ち波久礼が四季に抱きつき、馨と幽は愛をくれた手に縋るように擦り付いた。
「…ね、ちゃった…?」
数分間抱きついていたと思えばゆるりと力が抜けて小さい寝息を立てている4人がいた。
山を登り、暖かい部屋で暖かいご飯をいっぱいに食べ、盛大に泣いた。
そんな事をすれば心身は疲れるに決まっている。しょうがないと四季は薄らと笑みを浮かべ丸みと柔らかさを持っている頬を一撫でした。
未だ腰に巻き付いている波久礼の手をゆっくりと解き抱き抱えた。横抱きにすれば顔が良く見える、目尻が赤く染まり隈が出来ていて傷跡も多くある。
四季が治せるのは身体に付いた傷だけ、心の中まで癒す力は持っていない。人の心は神でも補填できないほどに繊細で不安定な物だからだ。
人間としていて生きていた時期もある四季にも心は存在する。だからこそ痛いほどによくわかる。
信用していた人に裏切られる気持ちを、けれども四季には分からない。
親と呼ばれる存在に貶され暴力を振るわれる事の辛さを。
コメント
4件
とっても最高でした!! 皆んな四季くんから離れないで寝ちゃったの可愛い! 次回も楽しみに待ってます!

やっぱり…その親たちクズ((殴 今回もめっちゃ面白かった✨ 続き楽しみにしてるね〜!!