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バッグからハンカチを取り出して濡れた髪を拭う。
好奇の目が注がれているのがわかる。
でも、そんな目も気にならないくらい
怖い
学生時代、校内で気まずそうにしている敦の腕に抱きついて優越感に浸る美幸の顔を思い出す。
男の前で甘ったるい声で作り笑いを顔面に貼り付けている美幸があの時は醜悪な鬼女に見えた。
恋に狂った母は、家族を捨ててまで選んだ男に捨てられ腐臭を撒き散らす黄泉醜女のようだった。
茂の浮気相手だった給湯室の女も寝取ってやったと勝ち誇ったような表情で私をみていた。
彼女のいる男をわざわざ誘い誰かの優位に立とうとするその姿に虫唾が走った。
Ayaは・・・
常軌を逸していた。
彼女の世界には茂と私の3人しかいない。
だから、何が起こるのか予測が付かない。
怖かった
それは、
私が
私もあんな風になるんじゃ無いかと感じたから。
Ayaは森川彩香では無かった。
それならば森川彩香は誰?
「雪!」