テラーノベル
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「今日で俺たちも卒業かー」
「うん、そうだね。」
桜が舞い散る季節、卒業の足音が近づく。
「なんか嫌そうだね」
「うん、嫌だもん。」
高校までずっと同じだった俺たち。だがこいつは優秀だ。同じ大学に行くわけが無い。
「なんで」
「…なんでも。」
urと離れるのが嫌だなんて死んでも言えない。だが、urはそれを見透かしたように、わかった、俺と離れるのが嫌なんでしょ、と顔を近づけ、ニヤニヤしながら言ってきた。
「だったら、だめかよ。」
嗚呼、言ってしまった。と思ってももう時すでに遅し。urはぽかんとしながら珍し、笑と呟き、空を見上げた。
「まあ、俺たち今までずっと一緒だったもんな」
urも分かってる。分かっててあいつは俺と別の大学に行くことを誓った。こいつに恋愛感情はない。ただの友情だ。
「寂しくないの。」
「…寂しいって言ったら来てくれんの?」
そういうつもりで言ったわけじゃない。が、俺がurと同じ大学に行かない、いや行けないと思ったから俺たちはここでお別れを告げないとならない。
「そういう訳じゃないけど。」
「知ってる、jpさんそういう人だもん」
何故かいつもurは俺の全てを見透かしたように話をしてくる。恋愛には鈍いくせに。
「俺がなんで、美大入るかjpさんに言ったっけ?」
「聞いた。」
そう、こいつは都会の美大に行くのだ。urは絵を描くのが好きで昔からずっと描いていた。その夢が叶う、といって見事推薦をとったのだ。
「…本当は離れたくなかったよ、おれ」
「…うそつき。」
まるで、俺が美大に行くのを引き止めて欲しかった、と言わんばかりの声を顔をしてきて流石に無理があると思い、少し強く言ってしまった。
「嘘じゃないんだけどなぁ笑」
「だってそれは、友情でしょ。」
それ以外何が?という雰囲気でこちらを見てくる。本当に失恋したんだとどん底に落ちているような感覚が過ぎていく。
「jpさんは友情以外で俺になんか抱いてたわけ?笑」
「………。」
うん、そうだよ、と言えず黙って足元を見たままの俺。無反応にビビるur。ほんと、馬鹿な2人だ。
「桜、満開だね。」
話を逸らしたくべく、急に桜の話をしたがさすがに違和感を察知したのかすぐさまつっこんできた。
「何話しそらしてんの」
「うるさい、逸らしてない。」
多分、俺の顔は今茹でダコみたいになっているだろう。そんな顔を見せてurに気持ち悪がられたくない。
「っ、ねえ、ちゃんと聞かせて、jpさんの気持ち」
「やだ、やめろ、あほur、!」
両腕で隠してた手を掴まれ、urと向き合う形になってしまう。しまった、言うんじゃなかったと後悔してもurの顔は目の前。どうすればいいかも分からず暴れていると、柔らかいものが突然唇に触れ、それがurのキスだと気づいた瞬間、俺はurを突き飛ばしてしまった。
「な、にして…」
「…好きじゃないの?俺の事」
好き、好きだが、こんな急展開は予想してない。俺は今の状況を把握するのに精一杯なのにurは着実に俺に近づいてくる。
「好きじゃな──」
「うそつきだね、jpさんは、そんなに俺に思いを伝えるのがいや?」
なんで、なんで全部見透かしてくるの。なんで全部、心が痛むの。
「ちが、っ」
「俺知ってるよ。他の人と話してただけで嫉妬してたのも、別の大学行くって言った時、本当は泣いてたのも、全部全部知ってる」
「っ、なんでそこまで分かってて俺と離れたの。」
焦りを、戸惑いを隠すようにいつものように喋る。
「このままだと、永遠にjpさんと離れられないと思ったから」
「おれは、永遠に離れられなくてもいいって思ってたよ。」
冷静に、urに返す言葉を嘘偽りなく考えて、発する。この方が、さっきより心が楽だから。
「…人に依存してしまうのが怖かったはずなのに、jpさんと出会って変わった。また、人に依存してしまった」
「だから、jpさんが困らないように───」
urが言葉を発する前に俺はurを抱きしめた。これ以上は、urが苦しんでしまうから。
「おれは、愛が重くても軽くても正直どうでもいいと思ってる。大事なのは、愛されてるか愛されてないかだから。」
「、おれちゃんと好きだよ。jpさんのこと」
「知ってる。だからそのままでいいって言ってる。」
でも、…とずっとurがあまりにもネガティブだったものだから。俺はそっとurの唇に触れた。
「…知ってたならわかるでしょ、俺も愛が重い方だって。」
「好きか確証を得られなかったから、ただの友情かと思ってた」
それなこっちのセリフ、と頭を叩きながらurに背を向ける。
「でも、大学、離れちゃった」
「…いいんじゃない、このおかげでお互い本音言えたわけだし。」
“迎えに来てくれるの、待ってるから。”そんなキザな言葉を言い放ち、俺は進んだ。
「それにur、ほんとにそこに行きたかったんでしょ。ならめそめそしないで友達作ること。」
「…バレてたか」
俺以外、一切友達を作ってこようとしなかったur。相手が友達になろうと言ってるのに無視したり、それでバレてないはずがない。
「桜、綺麗だね。」
「…jpさんって夏目漱石好きなの」
「さあ、どうだろう。」
貴方に完全に思いが伝わったかどうかなんて分からないのに、何故か信じてる自分がいる。心が今までよりずっと軽い。
「ねえ、ur。」
「なぁに、jpさん」
「大好きだよ。」
「うん、俺も愛してる」
あの日、俺たちはここで愛を誓った。まだ幼い頃の俺たち。
最後まで閲覧ありがとうございます。
痛い感じになってしまった感は否めないんですがせっかくなので出そうと思い出しました。
一応、分かりやすいように、文章の最後に。が付いてるのがjpさんとなっております。ついてないやつもあります。
注意とかなくてごめんなさい。
これは2人の過去に過ぎないので現在のお2人がどのような関係になったのかはご想像にお任せ致します。
コメント
4件
好きです
このノベルめっちゃ好みです!!😭💖 フォロー失礼しちゃいます…!!