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「 蝉が鳴き止むまで」
ストーリー考案 : ちゃぴ
調整 : ぬし
赫瑞
瑞彡 病気
短編
下手
蝉と言うものは 、非常に煩わしい 。
人類が皆 、そう思うことだろう 。
夏に現れ 、たくさん鳴いて 、秋に声が枯れて 。
冬には土のなかで過ごして 。
一般的に地上にいるのは1週間 。
土のなかで2年 。
合計2年1週間しか生きられない 。
短命だ 。
この話は 、
蝉のように短命ながら夏まで生きる少年と 、
そんな君といつまでもいたい少年の 、
少し切ない 、夏のお話 。
赫 視点
夏というものは 、俺にとっては少し好きな季節だった 。
なぜなら 、あのこと会えるから 。
「 はやく 、蝉が鳴かないかな 。」
ベランダでぼーっと街を眺める 。
若々しい緑の葉をつけた木は 、夏の爽やかな風にさらわれて葉を落とす 。
「 蝉 …… 」
そう呟くと 、ちょうど鳴き声が聞こえた 。
ジリジリジリ 、と言うよく聞く声が聞こえる 。
「 アブラゼミかな 、」
とは言え蝉の声が聞こえたのだ 。
ならば 、することは一つ 。
公園へ行くことだ 。
「 はぁっ 、はぁっ 」
足を絡めながら 、必死に公園まで走る 。
「 あぁ 、」
公園に着くと 、不思議に蝉の声が聞こえない 。
そこには 、水色の髪の少年がたっていた 。
「 … ぁ 、」
振り向いた少年は 、毎年変わらない声で 、
「 赫 、くん ! 」
変わらない笑顔で 、そう言ってくれた 。
tomato
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白玉くん
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「 あの 、ね 、瑞 、待ってたの 。」
「 さっき鳴ったばっかなのに 。」
「 聞こえちゃった 、から 、来たの 」
にへ 、と眉を下げて笑う姿はとても愛らしくて 。
嗚呼 、なんで夏だけしか会えないんだ 、と思ってしまう 。
俺は赫 。
ただのしがない中学生 。
「 えへへ 」って 、無邪気に笑ってるのが瑞 。
2人は 、とある約束を交わしている 。
〈 蝉が鳴き始めたら会う 〉
〈 鳴き止んだらまた明日 〉
〈 夏の終わりが来たらまた来年 〉
この3つだけ 。
瑞は 、難病を患っている 。
言葉が途切れ途切れになったり 、心が不安定になったり 。
外出を許されるのは 、夏だけ 。
だから俺は 、瑞のことを隠れて ‘ 空蝉 ’
って呼んでいる 。
空蝉とは 、蝉の抜け殻 。
そして 、この世に生きている人間や現世を意味する言葉だそうだ 。
瑞には 、いつまでも生きてて欲しいから 。
でも 、そんな 、少年の願いすら叶わない世界 。
瑞は 、毎年弱くなっていく 。
会えなくなるのも 、今年かもしれない 。
「 赫 、くん っ 」
声をかけられて 、はっと顔を上げる 。
いつの間にか俯いていたようだ 。
「 瑞 、どうした ? 」
「 あの 、ね 、赫くん 、が 、不安そう 、だったから 、」
心配させてしまっていたらしい 。
「 大丈夫だよ 。」
毎年毎年 、会った始まりはこれだ 。
——— 弱っていく君と会いたくない 、夏なんて来ないでくれ 。
——— 君と会いたい 、はやく夏になってくれ 。
そんな矛盾した思いが 、ずっと心を埋め尽くしている 。
「 瑞こそ 、体調は ? 」
「 …… ん 、大丈夫 、だよ 」
そう言いはするけど 、絶対に大丈夫じゃない 。
だって 、去年より明らかに痩せている 。
無理した笑顔をしている 。
「 あのね 、瑞 、遊び道具 、持ってきたの 。」
「 何持ってきたの ? 」
ベンチに一緒に腰掛け 、優しく聞く 。
「 じゃ 、じゃじゃーん っ ! 」
そう言って手を伸ばして見せてくれたのは 、1枚の紙 。
折り紙だ 。
「 あのね 、瑞 、赫くんと 、遊ぶために 、いっぱい 、練習してきた 、んだよ っ ! 」
健気に笑って 、器用な手つきですぐに一つの動物を折ってくれる 。
「 ほら 、ね っ ! 」
狐だ 。
どこからどう見ても狐だ 。
「 わぁっ … ! 」
折り紙なんて 、真剣にやったことのなかった 。
「 いまなら 、瑞先生が 、折り方 、教えてあげちゃう っ ! 」
また別の紙を取り出して 、きらきらした瞳で見つめてくる 。
「 何 、折りたい ? 」
そう聞かれる 。
「 そうだな …… 」
「 じゃ 、鮫の折り方 、教えてくれる ? 」
そう言うと 、顔を少し赤らめて 。
「 … 練習してない っ ⸝⸝ 」
「 いーの 、一緒に練習しよ ? 」
そう言って紙を持つ手を優しく握ると 、
「 … わかった 、⸝⸝⸝ 」
小さく頷いて 、説明書を取り出してくれた 。
瑞 視点
「 楽し 、かったな っ 」
ルンルンで 、病院まで歩く 。
「 … 、あれ 、? 」
目の前がチカチカする 。
「 …… 、 ぁ 」
( これ 、やばいな 、)
久しぶりの外で 、身体が慣れなかったのかも知れない 。
(無理しちゃ 、駄目 って 、言われてた 、のに 、忘れてた 、なぁ … w )
瑞の余命は 、あと2ヶ月 。
そう 、夏の終わりで 、丁度 、命の終わりなのだ 。
「 言わなきゃ 、なぁ … w 」
うまく動かない頭で 、必死に紡いだ言葉は 、あの子に届くわけもなかった 。
赫 視点
「 はぁっ 、はぁっ 」
また 、ダッシュで公園へ向かう 。
翌日だった 。
着いても 、あの子はいなかった 。
「 あれ 、? 」
瑞のいた場所にいたのは 、白い服を着た大人だった 。
その人は 、俺に気づくと 、小さく礼をしてきた 。
「 貴方が 、赫さんですか ? 」
「 … えぇ 、まぁ 、」
不用意に名前を教えるのは良くないことだが 、今はそれすら気にしなかった 。
—— 瑞は 、瑞は 。
「 貴方が仲良くしていた 、雨乃 瑞ですが 、」
「 瑞 、は … ? 」
「 今 、病院にいます 。」
はぁ 、と胸をなでおろす 。
心配していたことは杞憂だったようだ 。
「 … ですが 、」
「 … もう 、公園に来れることはないと思います 。」
案内してもらった病院は 、とても広いところだった 。
623号室 。
そこが 、瑞の病室だった 。
震える手で扉を開ける 。
中には 、布団に横たわる瑞と 、物に溢れた部屋があった 。
部屋の窓近くには花瓶 、その近くにはトランプや折り紙 、本まで 。
本当に様々な物があった 。
「 …… こ 、瑞 、」
声が震える 。
今 、俺は普通の顔をしているのだろうか 。
声に反応をしたのか 、瑞がゆっくりと身体をあげる 。
「 赫 、くん 、… 」
「 … えへ 、へ 、瑞 、やっちゃっ 、た っ … 、」
雰囲気を明るくしようと 、どうにかこうにか笑おうとする姿は変わっていなくて 。
でも 、いつものように笑っていないのは変わっていて 。
瑞のようで 、瑞ではない 。
不思議な感覚に襲われる 。
「 赫 、くん 、言いたいことが 、あります っ 、」
泣きそうな顔で 、そう伝えてくる 。
「 っ 、瑞 、は 、あと 、2ヶ月 で 、」
聞きたくない 、やめてくれ 、
「 死に 、ます っ 」
「 っ 、! 」
予想できたことだ 。
外に出れないほどしんどいのだろう 。
本当は今だって辛いはずだ 。
でも 、俺に 、伝えるために 、頑張っているんだ 、
「 … でも 、赫くん 、には 、悲しんでほしく 、ない 、」
「 だから 、折り紙を 、折ってるの 、」
瑞のことを思い出せるように 、そう言葉を続ける君は 、涙に濡れていて 。
「 … っ 、そんなのなくても 、思い出せるよ w 」
俺も 、泣きながらなんとか笑う 。
そうすると瑞は 、
「 赫くんは 、せかいいち 、やさしい 、ね っ 、! 」
また 、いつもの笑顔で笑ってくれるのだ 。
「 あー 、違う っ 、ここは 、ここ っ ! 」
「 むむむ …… 」
瑞が病室から出れなくなってから 、遊ぶ場所が変わった 。
まぁ変わっても内容は変わらない 。
子供が遊ぶようなものを2人で遊ぶだけ 。
でも 、内容にテレビゲームがこないだ追加された 。
もう 、1ヶ月経った 。
「 …… あと 、1ヶ月 、」
「 …… 赫くん 、そこ 、また間違って 、る っ 、」
聞こえてはいるのだろう 。
でも 、話題を変えて 。
ごめんな 、こんな奴で 、
「 … あ 、こういうことか 。」
「 そ っ 、! 」
今は鮫の作り方を教えてもらっている 。
俺は思っていたより不器用みたいで 、まだちゃんと折れない 。
瑞は 、俺がおっている間にもう5匹ぐらい折っている 。
器用すぎだろ 。
「 …… よし 、できた ! 」
「 きれーい ! 」
パチパチと拍手をして喜ぶ様は 、まるで病人には見えない 。
「 んじゃ 、今度は 、狐だね っ ! 」
「 うげ …… 」
「 うげ 、じゃ 、ない っ ! 」
瑞は 、明らかに会った時より元気になっている 。
それで 、寿命が延びるわけじゃないけれど 。
夏が少し涼しくなってきた 。
( もうすぐ 、終わっちゃうな 、)
最後の夏 。
寂しさを覚える 。
一緒に遊んだ公園を病室から眺めていると 、ぽつりと瑞が言った 。
「 …… 蝉って 、短い人生 、なのに 、なんで 、あんな 、に 、大きく 、鳴くんだろう 、ね 。」
「 短いからこそだろ 。」
「 そっ 、か 、」
それだけ 。
それだけの会話だった 。
最後に一つ 、というように 、一際大きく蝉が鳴いて 、一匹の声がしなくなった 。
最後の日だった 。
瑞は 、最後だからと公園に来ることを許されていた 。
「 赫 、くん 、あの滑り台 、楽しかった っ ! 」
「 あぁ 、瑞がめっちゃ転んだやつな 。」
「 … あのブランコ 、も 、楽しかった 、よね っ ! 」
「 あぁ 、瑞がめっちゃ酔いかけてたやつな 。」
「 …… なんか 、瑞 、やんちゃ 、すぎない !? 」
「 今気づいたんか 。」
「 えぇ …… 」
最後だからって特段変わらない 。
いつもどおり笑って 、いつもどおり喋って 。
「 あ 、お花 、だ っ ! 」
たっと走っていってしまう 。
「 ちょ 、瑞 、!? 」
そこは 、少し緑が深いところだった 。
瑞は 、しゃがんでもぞもぞと何かしている 。
「 じゃーん っ ! 」
「 お 、なんこれ 、」
「 ヒガンバナ っ 、」
「 花言葉は 、また会う日を楽しみに 」
「 … 赫くん 、これ 、持ってて 、くれます 、か っ 、」
赤のヒガンバナを差し出して 、泣き笑いをする瑞 。
「 っ 、あぁ っ 、勿論 っ 、! 」
俺も 、泣き笑いで答えて 。
「 ふふ っ w 」
「 はは っ w 」
蝉が泣き止むまで 、ずっと2人で笑っていた 。
翌朝だった 。
夏は終わった 。
瑞はもういない 。
でも 、公園に行きたくなったのだ 。
「 … 瑞 、」
蝉の鳴き声は聞こえない 。
もう秋になったからだ 。
今年はじめに座ったベンチに腰掛ける 。
秋の風物詩 、トンボが飛んでいる 。
ぼーっと眺めていると 、かさっ と音が鳴った 。
「 んだこれ 、」
見ると 、紙と 、何かがあった 。
紙は二つ折りで 、何かは袋に入っていて分からない 。
ぴらりと紙を開くと 、文字が並んでいた 。
『 赫くんへ
この手紙を見てるってことは 、多分お医者さんが公園に置いたんだと思います 』
その言葉で始まり 、つらつらと書かれた俺への言葉 。
楽しかったことの数々 。
「 っ 、こんなの 、泣かせに来てるじゃねぇか 、w 」
強がって笑ってみる 。
でも 、一向に涙が止まる気配はない 。
『 また 、会おうね ! 』
何も知らない 、無邪気な願い 。
「 っ 、」
涙が止まらない 。
「 そうだ 、袋 、」
リボンで飾られた小綺麗な袋だ 。
丁寧に開けると 、物が出てきた 。
一つは折り紙 。
鮫と 、狐だった 。
綺麗に手を繋いでいて 。
狐は瑞 、鮫は俺が折ったものだった 。
「 っ ! 」
もう一つは 、アルバムだった 。
瑞と遊んだ約5年間 。
それらの全てが 、写真に残っていた 。
「 いつ 、こんなの 、w 」
思い出してよなんて言わなくても 、こんなのあったら思い出せるじゃないか 。
ぺらりと 、無言でページをめくる 。
最後のページには 、
『 今年の夏も 、過ごせたよ 』
そう書かれた紙が 、挟まっていた 。
蝉の鳴き声が響く夏のなかで 、太陽のように笑う君の姿が 、見えた気がした 。
ストーリー
コメント
4件
切なすぎる 最近、どろどろ書きすぎて純愛を忘れかけてたよ… 思い出させてくれてありがとう笑笑
この 書き方 やと 文字数 えぐ く なって 草(
わあ…「夏の終わり。」、めっちゃ好きな雰囲気の話でした…! 蝉の鳴き声っていう“期間限定”の合図でしか会えない2人が切なくて、でも赫くんが折り紙で瑞くんと一緒に笑おうとしてるシーンがすごく胸にきました。ヒガンバナの花言葉とか、最後の手紙と折り紙の演出…涙腺やられました…ちゃんと向き合ってくれてありがとうございます、