テラーノベル
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❕注意❕
・刀剣乱舞の二次創作です。
・男主です
・負傷シーンがあります。
・読者様のキャラの解釈と違う場合があります。
・以上のことが大丈夫な方はそのまま読み進めてください!
どこか重く息を詰めたように感じられる空気が、満ちていた。彼らは各々の装束を整え、武具を確かめている。
主として、言うべきことは一つしかない。勝利でも武勲でもない、この本丸で何より優先されること。
胸の奥でその言葉を反芻し、全員を見渡してから、ゆっくりと口を開いた。
「誰も欠けることなくこの本丸に帰れ。それが一番大切だ」
分かったか?と目線で問えば、
「ああ」
「はい!」
「了解」
と、頼もしい返事が返ってくる。その返事を聞き、思わず肩の力が抜けた。だが、今剣と燭台切は顕現して半日も経っておらず、神力が安定していない。そんな中、戦場へ向かわせなければならない不安が心の隅に残っていた。
「じゃあ、頼む」
短く告げると、転移が始まる。淡い光の中に、彼らの姿が溶けていく。その姿を、俺は最後まで見送った。
無事に帰れよ。-声に出さず、そう願いながら。
彼らが転送されたのは、周りより少し小高い丘の上だった。藪の中から麓を見れば、10メートルほど離れた辺りに歴史遡行軍の姿が確認できる。
「嫌な、空気だな」
山姥切の言うように、そこには戦が始まる前とは違う、淀んだ空気が漂っている。
「まんばちゃん、偵察結果を」
燭台切が促す。
「あぁ。目視の範囲だと敵の数は五人だか、まだ居るだろう。恐らく新政府軍の戦力削減を狙っていると思われる。旧幕府軍がこちらに来る前に片付ける」
「了解」
「わかりました!」
そう答え敵を見すえる二人の瞳には、鋭い光が宿っていた。
「……来るぞ」
山姥切の低い声を合図に、空気が一変した。
丘の下で蠢いていた遡行軍が、一斉にこちらを向く。その数は偵察時より遥かに多かった。
「やっぱり、気づいてたか」
燭台切は静かに刀を抜く。が、一瞬、神力が揺らいだ。
「無理は、するな」
山姥切が忠告する。
「分かった。無理はしない」
燭台切は素直に忠告に従う。
「そーれっ!」
その声と同時に、今剣が飛び出す。一体が反応する前に斬り伏せられ、鈍い音を立てて崩れ落ちた。
「今剣!後ろ!」
山姥切が叫ぶ。
「うわっ」
後ろから忍び寄る敵に気づかず、反応が一瞬遅れる。敵の刃が今剣の腕を掠め、そのまま体制を崩して倒れ込んだ。
「今剣!」
「いまつるちゃん!」
二人の悲鳴が重なる。
「だいじょ……っ、ぶ……です」
立ち上がろうとするが、傷口からは血が大量に流れている。負傷は明らかだった。
「下がれ!」
山姥切が即座に前へ出る。とどめを刺そうとする敵の間に割り込み、強引に刃を受け止めた。
燭台切は今剣の肩を支え、後方へ下がらせる。
「動けるかい?」
「……はい」
小さく頷くが、その足取りは不安定で、先程の軽やかさは無かった。
敵は好機とばかりに距離を縮める。数はまだ減りきっていない。山姥切は一歩も引かず、敵の攻撃を一身に受けていた。
「ごめんなさい……ぼく、つかまっちゃいましたね……」
今剣の声が、悔しさを含んで震える。
「気にするな」
山姥切は振り返らずに言う。
燭台切は、今剣を安全な位置まで下げると再び戦線へ戻る。
山姥切は先程の敵を切り伏せ、次の敵を見据えていた。
「さあ、反撃開始だ!格好よく行こう!」
「ああ」
二人は一斉に敵に切りかかる。
ー『誰も欠けることなく帰る』
この約束を、守るために。
静けさだけが残る本丸でひたすら皆の帰りを待ち続けていた。
文机の前に座り仕事を片付けようとしても、無意識のうちに転移装置を気にしてしまう。
「少し、寛がれては?」
主の神力の状態は刀剣男士達にも影響しますので。こんのすけにそう言われ、「そうだな」と返し、縁側に出る。俺の悩みを嘲笑うかのように、空は青く澄んでいた。
「もうそろそろお帰りになられる頃かと」
ふと時計を見ると、彼らが出発してから一時間が経過しようとしていた。
「よし!」
気合いを入れるために頬を叩き、帰還後の準備に取り掛かる。手入れ部屋を整え、風呂を入れる。そうこうしているうちに、転移装置が淡い光を放った。
「っ!!」
転移装置へ駆け寄ると、そこには、山姥切、燭台切、そして、燭台切に支えられて立つ今剣の姿が在った。
「帰ったぞ」
「ただいま〜」
「ただいま、かえりました」
怪我はしているものの、全員無事だ。その事実に安心し、思わずその場に崩れ落ちる。
「よかったぁ〜」
自然と口から言葉が漏れる。
「おかえり、頑張ったな」
そう言って彼らを中へと促す。怪我をしている今剣を手入れ部屋へ、怪我をしていない山姥切と燭台切には、風呂に入るよう伝える。
手入れをしていると、今剣が
「あるじさま、ぼく、つかれちゃいました。 ちょっと、ねてもいいですか?」
と言いながら微睡み、そのまま寝てしまった。
「おやすみ。ゆっくり休めよ」
布団を掛け、傍に座る。
静かな室内には、今剣の寝息が小さく、しかし確かに聞こえる。胸の奥に残っていた不安が少しづつ、溶けていくのを感じた。
「本当に……無事で、よかった」
小さく呟き、頭を撫でる。その寝顔は、幸せそうだった。
今剣を起こさぬよう、そっと手入れ部屋を後にする。
風呂からは、山姥切と燭台切の話す声が聞こえてくる。その声を背に、廊下を歩く。
廊下を渡る風は涼しく、心地の良いものだった。
「……おかえり」
もう一度、誰にとも無く呟く。
本丸に、静かで、確かな日常が戻ってきていた。
あとがきという名の雑談
こんにちは。作者です。
閲覧ありがとうございます。
今回は、戦闘シーンに初挑戦してみました。
読みずらいところがあったらすみません。
いいね、コメントなど、励みになっています。
次は誰を出そうかな〜?(リクエストありましたらコメントへ)
ではまた。
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