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次の日、中学校近くの公園にたどり着くと彼は既に待ってくれていた。
「ますみん」
「悪いな、時間作ってもらって」
「ううん、暇だったから」
「そうか」
そう言って手に持っていた袋をこちらへと差し出してくれた。
「これ、お土産な」
「ありがとう!中見てもいい?」
「うん」
袋を確認してみると不思議の国がモチーフになっているアソーテッド・チョコレートが入っていた。
「わぁ!可愛い!」
「チョコ、好きだったよな」
「大好き!デザインかわいい!食べるのもったいない!」
「食べ物だから食ってくれ」
くすくす笑いながら、そう言った彼はジッと私の顔を見てくる
「どうかした?」
「元気になったな」
「え?」
「無理してない感じがする」
ますみん気にしてくれてたんだ。
おばあちゃんが亡くなったと知らされた時、藤崎組の集まりの帰りで丁度そこに居合わせていたのがますみんだった。
気持ちも涙も堪えていた時に人がいない公園に連れ出してくれて、思いっきり泣いていいって言ってくれた。私の泣いてる顔を見ないように配慮してくれて、ベンチに座る私の背中を後ろから、ぽんぽんしてくれたから1人じゃないことに安心したのを覚えてる。
そのあと傷心の私を家まで送ってくれたんだっけ。ほんと ますみんには迷惑かけてばっかだ
「うん、最初はGWどこにも行くつもりなかったんだけど、思いがけないタイミングで良い気分転換が出来たの」
「そっか、なら良かった」
「もう平気だよ!」
にこっと笑ってみせると彼は少し考えた様子を見せて呟く
「今日ってこの後なんかある?」
「何もないよ」
「ご飯食べに行かない?」
「うん、行く!」
チョコレートが溶けたら可哀想だからと私の家まで行ってお土産を置いてから外へ出る
「わざわざ家まで来てもらって ごめんね」
「いや、俺が溶けやすいチョコを買ってきたのが原因だから」
ますみんとは中学生時代、何かと縁があって隣にいる機会も多く、気兼ねなく話せる相棒というか親友って感じがする。
「何食べる?」
「私とますみんっていったらハンバーグでしょ!」
「やっぱ?」
歩き慣れた道を進んでハンバーグ屋さんへと向かう
「夢の国楽しかった?」
「うん、’ひらやん’が大はしゃぎしてた」
「想像出来るわそれ」
「’おっきー’は必ず写真見切れるからって、女子が’おっきー’囲って中心に立たせたりしてた」
まだ1ヶ月ちょっとしか経ってないのにもう懐かしく感じる。中学生から高校生になったんだなって実感するなぁ。
「ますみんは?」
「え?」
「さっきから他の子の話ばっかりだよ」
「…そうだっけ?」
「ますみんは楽しかった?」
「うん、楽しかったよ」
「そっか、良かったね!」
「今度は もかっぺも一緒に行こうな」
「うん!」
ハンバーグ屋さんに着いて席へと案内される。向かい合って座りメニューに目を落とす
「今日は和風…オニオン…いや、デミも捨てがたい。んー、どうしよう」
「俺もまだメニュー見てるから、ゆっくり選びなよ」
少し悩んだ末に何を食べるのか決める
「決まった」
私が決めてからすぐボタンを押す。ますみんはメニュー見てるとは言ってたけど、たぶん食べる物は早めに決まってただろうな。
いつものように先に真住へと注文を促す。
「おろしポン酢のハンバーグ。スープセットのライス大盛りで」
店員さんが打ち込んだあとに私も注文する。
「オニオンソースのハンバーグで、スープセットのライス大盛りでお願いします」
よし、同じ量のもの頼めたから大丈夫!
店員さんが去っていくのを見てから、ますみんへと視線を移す
「楽しみだな、ハンバーグ」
「うん!美味しいもの食べると幸せになれる!」
「食べるの好きだよな」
「ふふ、そういえば昨日のお昼食べた高校の最寄り駅付近にあるパスタ屋さんが美味しかったの!」
「パスタか、いいな」
「とっても美味しかったから、ますみんにも行って欲しい!」
昨日、楽しかったな…ご飯も美味しかったし、色々と新鮮なお出かけだった
「俺、場所分かんないから今度一緒に行かない?」
「うん、いいよ! 」
「昨日ランチ食べた後はどこか行ったのか?」
「ランチ食べた後は絵を見に行ったかな」
「妹ちゃんと?」
「んーん、瀬南くんと」
「亜貴?」
私の返答が意外すぎたのか、ますみんは目を丸くしている。
「意外だよね、出会って数日しか経ってないのに」
「いや………まぁ、そうだな」
「私がおばあちゃんの事で滅入ってたら ‘僕は家族でも友達でもないから気遣いしなくていい’ って言ってくれて」
「へぇ」
「すごく心が楽になったんだ。美術部のこともあるし、瀬南くんには頭が上がらないよ」
そんな話をしていたらハンバーグが到着した。