テラーノベル
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さて、そろそろ寝ようと思った矢先。デイルームから何やら騒がしい声が聞こえる。どうやらまだ誰か起きているようだ。聞き耳を立てて聞いてみると。
「なぁ、咲姉」
とあぐらをかきながら本を読んでいる咲に話しかけている。咲はどうも気だるげに
「なによ、バカ」
とため息を零しながら”バカ”という単語だけを強く言っていた。
「馬鹿っつったな!?バカは咲姉だ!!!」
どうやらふたりして言い合いをしているようだ。2人はそこまで仲がいいという訳でもないが。ここまで来るとさすがに”喧嘩するほど仲がいい”という言葉がピッタリあっていくような気がした。
「は!?院長をバカって言うならわかるけど!私をバカって言わないでくれる!?」
という衝撃の言葉に私は思わず「酷くね?」という言葉が出てしまう。2人は声のするほうを見て僕がここにいることを確認したが。信じられないのか2度見するほどだった。
「院長居たの!?」
という言葉を発する咲と、視線を感ずいていたのか黙って焦る夜兎だった。そう考えると1年で夜兎も急成長したのだと感じてしまう。
「居たよォ???さっきからァ……」
と悲しい気持ちを全面に出す。
「ごめんなさい……」
こうして素直に謝れるのは咲のいいところだ。しかし、何故か夜兎には強気なのだ。よく分からない性格をしている。まぁ、邪神の世の中、騙し合いというものがあるのだ。これくらいでなければ、やっていけないのだ。
まぁ、こんな雰囲気に水を指すのが夜兎だ。
「やーぃ、咲姉怒られてやんの!!!」
と咲を煽るように言う。まぁこんな煽り方でも咲のことを1番に信頼してるのはこの子なのだ。
「てめぇはガキか💢」
まぁ、咲が気づかないから毎回こんな口喧嘩に発展するのだが。というより、咲がこんなに素を出してくれるようになったのは夜兎のおかげだった。感謝しかないが、この喧嘩が夜中まで続くのはさすがに他の孤児を起こすことになってしまうのだ。
「へへーん、まだ7歳だもんね!」
夜兎は7歳だったようだ、これは僕すら知らなかった。それに比べて咲は11歳……4歳差だ。まぁ、こうなるだろうなとは孤児院に迎えてからわかっていた……
「うぜぇ……」
という咲の言葉に僕は、この子でもこんな言葉を使うのだなと感心していた。いつもはとても穏やかな子だったのだが。どうやら夜兎が来てから素を出しているようだ。これは凄く嬉しい誤算だった。
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