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7月は終わり、いよいよ本場の夏に入る。
7月は色々あったと麻村は思う。昔からの親友と喧嘩し母を無くしてしまいお婆さんの故郷に来て個性豊かな人達と会った。センター分けで変人な西園寺、腹の底が分からない眼鏡をつけた鐘有、双子の姉であり活発な春奈、双子の妹でほんわかな秋奈。個性的なキャラと居ると退屈にはならない。しかし今は話が違う
「ここ何?漢字マジで分からない」
「習字たいぎぃ…」
「あっやばい日記初日から書いてない」
鐘有以外の3人が宿題を全くやっていない事だ。今日は勉強会として鐘有神社の社務所に集まり勉強をしている
「ははっ毎年恒例なんだよね。何時も僕がこの3人に教えてるから麻村君がいてくれて助かるよ」
その声には疲れが見え、今まで大変だったんだなと麻村は考える
「麻村は終わってんの?シュクダイ」
「後日記と夏の思い出書くやつ」
「夏の思い出ね〜…毎年海行った何だよね」
宿題を地道に進めながら他愛ない話をしていると尿意がしてきた
「すまん、トイレ何処だ?」
「トイレ?連れていくよ。ちょっと此処広いしね」
「おっ行ってる間遊ぼうゼ(((」
「遊んだらどうなるか分かってる?」
「すいません_○/|_」
鐘有は怒ったら絶対に怖い。そう思う麻村であった
トイレは少し遠い場所にあった。
「ん、すまんまたせた」
「いや、大丈夫」
行こっかと鐘有が言った直後
チリーン………
「「ッ!?」」
あの時の鈴の音が聴こえた。今回こそはと思い麻村は直ぐに聴こえた方へと向かう
チリーン……
(ッ、何処だ?何処でなってる?)
鳴った所は山の方だったが気にせずに進む
チリーン…
「ハァ…麻村君ッ」
鐘有が追いつき音の出処を探す。目を閉めて鈴の音が聞こえるよう集中している
「……見つけた」
そう呟いた後鐘有は一気に奥へと進む。それに少しばかり驚いた麻村だが見失わないよう追いつく。 鐘有が入ってった所は日が当たらず随分と暗いとこであった。しかしそこを抜けると
光が差し込んだ小さな摂社があった。麻村がここに来る前に居た故郷の神社にある摂社より小さいが汚れた所は全くなくちゃんと手入れされて来たのだとわかる。
静止していた鐘有は動きだし二礼二拍手一礼をしてまた固まる。麻村も鐘有に真似るように2拍手をした。
「だれ?あなた達」
後ろから高い声が聴こえた。振り返ると…
「…!あっ」
白い着物を着た女の子がいた。
「………咲叉?」
「え…うん」
咲叉は昔鐘有正角と婚約を結ばれようとしたが実の兄に殺されて亡くなった子だ。そう、亡くなった。だから咲叉は目の前に居るわけない。しかし居るのだ。何故だ?
「何で…咲叉が居るんだ?」
「…ふふっちょっと細工したの」
咲叉は手に持っている和傘を閉じて言う
「何処かで聞いたことあるよね?死んだ人が未練を持っていたら霊体のまま天国と地獄も行けずこの世界に居るって。」
「でも…それだと霊感が無いと見えない」
「うん。でも貴方達は見えている」
1つ、間を空けて彼女は言う
「だからね、私は…霊体とか人間でもない。もっと別の…何か」
「……こう喋ってるけど私も何でまた生きてるのか分からない。でも、多分…未練が出来ちゃったから生きたのかも?霊体みたいに」
咲叉は優しく笑う。麻村はその笑みに見覚えがあった。しかし、誰かは分からない。「…未練って何の未練?」
「………遊びたい。皆と」
「遊ぶ……?」
ここに来てやっと麻村が声を上げた。遊ぶって普通に鬼ごっことかか?と思ったからだろう。
「うん、遊びたい。お手玉とかあやとりとか…けん玉とか!」
「なんか…古いね。お手玉とか今全くもってしてないよ?あやとりも」
「良いじゃん。別に」
咲叉は口をぷくーと膨らまし不機嫌な顔をする。その顔も誰かと似てる気がするが…誰だっただろうか
ガラガラ
「ただいま」
「めっちゃ遅かったね」
「どう?終わった?」
「あぁ〜…漢字ドリル終わった……」
「………ん?後ろの子は誰?」
「「…え?」」
西園寺と春奈が鐘有と麻村の後ろに居る子を凝視する。その行動に悪戯心が湧いたのか後ろの子が 「…わっ!」
「うおっ!?」「うわっ!?」
2人に情けない声を挙げさせたのだ。これに鐘有は笑うが麻村は真顔を貫いていた
「え〜っと…そちらの子は?」
「綺麗な和服だね」
「秋奈、今それじゃないと思う」
「私は咲叉だよ」
「「「…………………は?」」」
「ははっ凄いね。綺麗にハモった」
「あぁ…まぁ話せば長くなるが……」
そして麻村は現場にいなかった3人に鈴の音聴こえた所に行ったら死んでいるはずの咲叉が居たと話した。何とか秋奈は理解したが残りの2人は宇宙を背負っていた
「つまり…未練を解決したら成仏するってこと?」
「まぁ…そうなるんじゃね?」
「ん〜死んだ?」
「分からない…」
「2人は後で僕が1から説明するよ。咲叉、君はどうしたい?」
「え?何が?」
「未練を果たしてまた消えるか。それともこの世界にずっと居続けるか」
それを聞かれ咲叉は下を向く。
「…まぁとりあえず、遊ぶか?あやとりだったら俺出来るぞ」
「へぇ〜麻村君出来るんだ。以外」
「以外ってなんだ妹の方。友達に教えて貰ったんだよ」
「………良いの?遊んで」
「別に、遊びたいんだろ?」
咲叉は目を輝かせ麻村を見る。しかし、その目には麻村を写していなかった。麻村に似ている誰かを写している。それは麻村にも分からなかった