最近、甥のまさちゃんがよく僕をみている嫌ではないが鋭い目付きで見るので僕何かした?と思っている。
「モグモグ…」
「ジーー」
今、夕食の時も手はとめずずっと見ている。その目はやっぱり鋭かった。しかし、目線を外し柊斗の斜め横を見る。
「ん?」
柊斗は麻村が見ている所を見るが何も無かった。何か気になる物でもあったのかな?
その後麻村は食べるペースを上げて料理を完食し直ぐに自室へと向かっていった。急いでいたがちゃんと食器を持って行ったのに柊斗は感心している。
「ふふっ桃ちゃんとは大違いねぇ。食器なんて私が言わなかったら持って来なかったのにねぇ。お父さん似なのかしら?」
「確かに…ねぇさん食器片付けてなかったよね。」
そんな会話が続く中、母さん。元い麻村梅子は少し、怪しげな事を言う
「今回はまさちゃんなのねぇ…」
その言葉は寂しさにも包まれていたが柊斗には梅子の言葉は分からなかった。
「…何で来たんだよ」
「えへへ…」
あの後勉強会が終わり夕食をとっている時にいきなり咲叉が現れたのだ。それに驚いたが叔父とお婆さんが気づいていなかったことにも驚いた。いや、気づいていないより…
「お前は、俺ら以外には見えないのか?」
「ンー、そうなのかな?」
咲叉本人もわからないようだ。
「でもさ、私が見えないのが普通なんじゃない?」
「それは…そうだな」
ふふっと咲叉は笑うが何かを思い出したかのように麻村を見る
「そういえば、なんで男の人見てたの?」
「男の人…叔父さんのことか?別に、何もないが…母さんに似てるんだ」
「お母さん?」
「ああ、何が似てるかはわからないけどな。」
ふーんと咲叉は言い周りをふよふよと動く。本当は母さんに似てるって言う理由ではない。いや、確かに母さんに似ているが…それよりももっと咲叉に似ている。
目が似ているのだ。綺麗な下まつげ2つ。穏やかな垂れ目。顔も何処と無く似ている。もしかしたら、咲叉は麻村家の人ではないのかと麻村は考える。確証はないが咲叉に聞き出せるは出来る
「なぁ咲…叉……」
いつの間にか咲叉は居なくなっていた。
あれから数日後、今日も今日とで蒸し暑く外で遊べるような天気では無かった。何をしようかといつものメンバーと神社で話していると
「清鈴や」
後ろからしわがれた声が聞こえた
「あっおじいちゃん」
「ちょっと手伝って欲しいことがあるのだが…おや?その子は……っ」
「ん?前に言った子だよ。ほら、麻村」
「そうか、君が麻村か。儂は鐘有和幸」
「僕のおじいちゃんだよ」
「そうだったんだな。あっよろしくお願いします」
丁寧な子だのと和幸は微笑みながら言う
「と言うかおじいさん。手伝って欲しい事ってなんだ?」
ここで蚊帳の外だった西園寺が和幸に話しかける。和幸はそれを聞いて思い出したかのように言った。
「おぉ祭りの手伝いをして欲しんだ。まぁいつも通り提灯を飾る作業だけどな」
「今年もするだね」
「これは一肌脱がないとね〜」
「………?提灯を飾る?」
皆やる気満々だったが麻村だけよくわかっていなかった
「あぁ麻村君は初めてか。清鈴や、麻村君に教えてやってくれ」
「もちろん。もう何年もやってるから僕はこん中ではベテランだよ」
「頼もしいな」
「ふむ。ではよろしく頼むぞ」
「この提灯ちょっと破れてない?」
「ホント?1年前に変えたばっかなんだけどな…」
話はしながらも着々と作業が続いている中麻村は提灯を飾っている北里姉妹に声をかけられた。
「ねぇ麻村君。ここたう?」
「……たう?」
「マジ後ちょっと何だけどたわんのよね。麻村、いける?」
たう…とは何だろうか?背伸びして提灯を飾ろうとしているので届かないと言う意味なのか?
「多分いける。よいしょ……ここか?」
「「うんうんそこだよ」」
「流石背が高い人だね〜腹が立つわ」
「その身長分けて欲しいね〜」
「ウザイな……」
姉妹の言葉に若干イラつきながらもさっきから思って言うことを言う
「なぁ、何で提灯なんか付けてるんだ?夏祭りでもあんのか?」
「そうだよ〜」
「夏祭りがあるもんね〜」
「「君の所でも無かった?」」
「…………」
思い返すと確かに自分の地域にはあったなと麻村は思った。1回大きな祭りにアイツと行ったっけな。懐かしいな
「おや?今年も準備してるの?」
「おっマムラさん!」
「おじいちゃん居るかな?」
「あっはいすぐ呼んで来ます!」
「マムラ?………っ?」
マムラと言われる人は高身長でスラッとしており言わばイケメンの類に入るのだろう。しかし麻村はそこよりも眼の方に気付き、驚いたのだ
「…?あ〜麻村って言う子?」
「っ…はい、そうッス」
「僕はマムラ。毎年ここの祭りにやって来ては遊んでる暇人だよ。宜しく」
マムラの微笑みは少なからずも女性をおとす位の綺麗さがあった。だが、その笑いにも覚えがあったのだ。
「おぉ〜マムラ君。相変わらずじゃのう」
「其方もお変わらずのようで」
これは言ってもいいのだろうか。この人は、俺の母さんに似ている事を
「麻村君?どうしたの?」
急に黙った麻村に鐘有は声をかける。だが麻村は無反応だった。鐘有は感ずき
「マムラさんはね、毎年この時期にやってくるんだ。おじいちゃんと昔から仲がいいみたい」
「でもね、僕が小さい頃からもマムラさんと仲良かった。その時のマムラさん、今と全く変わってないんだよね〜…マムラさんって…何歳なんだろうね?」
今目の前にいる男は何者なんだろうか。咲叉と一緒なのか?
「………ん?どうしたの?」
「……………」
この時の俺…いや、俺達はまだ、奇妙な体験をするとは思っていなかった
「っ華叉……」