side shp
「ゾムさんっ」
「ん?なんや?」
彼は何もないような顔をしている。今俺の手を握っていることを覚えているのだろうか。まぁ昔はこんな感じだったなと思い出に浸るのも悪くない。
「そういえば何してたんですか。」
待たされている理由も知らなかった俺は気になってしまう。
「あー。まあきにせんといてや。」
そらされてしまったがしょうがない。話したくないのだろうか。
「ところでショッピ。トントンと何話してたんや?」
ゾムさんは俺の方をみず、質問してくる。なんだかちょっと怒ってるような感じがした。
「特にないですよ。」
さすがに内容が内容なので言えずに戸惑う。
「ふーん」
ゾムさんは久しぶりにこっちをむいて伺ってくる。
「とっところでゾムさん。今夜泊まりに来ませんか。」
そのことを言った瞬間ゾムさんの動きが止まる。いっぱい話も聞きたいし、いっぱい話をしたい。彼をしって、今よりもっともっと好きになりたい。そう思ったから。彼はニコッと微笑む。
「ええんか?」
「なんならこのまま来ちゃってくださいよw」
「おう!そうしようぜ」
目の前にいる、美少年はいつもの大人びた美しい顔ではなく、ごく普通の少年だった。
雑談をしながら家に帰る。親の転勤で引っ越した普通くらいの田舎はまだ慣れず、自分は浮いているように感じてしまう。
「久しぶりやなあ。ショッピんち。」
彼を部屋に通す。
「ゾムさんお風呂入りますか?」
「ん!入るー。」
彼に服を貸してお風呂に行かせる。
「なんかあったら呼んでくださいね」
「はーい!」
俺は自室に戻り、布団の準備をする。
「これはあかんな…」
繋げた布団を見て、顔を赤める。
「まぁ?男同士やし?w」
見えないけど今自分の顔はきっとニヤついていて、不気味だろう。心がめっちゃ踊ってる。
「ショッピ?」
急に声を掛けられビクッとして後ろを振り返る。そこにはお風呂上がりのゾムさんが立っていた。
「ビックリした……」
「すまんすまんw」
階段があるというのになぜ足音がしないんだよ…。忍者かなんかか?この先輩。
「お風呂ありがとな。」
「いえいえ。俺も行ってきますね。」
そう言って見事に美しいゾムさんから離れ、洗面所にはいっていく。
深くため息をつく。鏡をみると顔が紅くなった自分が立っている。恥ずかしくて思わず自分から目をそらす。
ポロンッ。スマホの音がなる。俺かと一瞬思ったが、音が違った。大量に通知音がする。
「ポロポロうっさいねん!」
そう言って音の正体を、つかむ。それはゾムさんのスマホだった。
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