テラーノベル
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「…お前が…オレを置いていったのが悪いんや」
『置いて…?──ッん…!?んんぅッ…!』
カラスバの言葉を不思議に思っていると、次の瞬間唇を強引に奪われる
慌ててカラスバの胸を押すが全くビクともしない
いつからこんなに自分の力は弱くなった…?
『ぃ、や…ッ!やめっ…んんッ……!!』
私が赤い口紅をつけてきたのが悪かったの?カラスバさんの気持ちを考えずに、他の男の名前を出したから?
それなら謝るから、話を聞いて欲しい
赤い口紅が嫌なら変えるし、香水も使わない
「ッは…」
『ご、ごめんなさいっ…お願いします、話を…っ…』
涙で頬を濡らすシオンの涙をぶっきらぼうに拭ったあと首の方へ唇を近づける
しかしその時ふと、シオンの首に絆創膏が貼られていることに気づく
「(まさか……)」
『いっ…!?』
絆創膏を剥がすと露になるひとつのキスマーク
その瞬間カラスバの中でプツッ…と何かが切れる
『カ、カラスバさん!話を聞い──ひっ、』
「何が正解なんや、ずっとおとなしゅうして待っとって…せやけど、お前は他の男ん所フラフラしおって」
カラスバの蛇のような鋭い眼光がシオンの恐怖をより一層煽る
「…この際もうええよな。最後まで責任とるさかい」
そう言ってネクタイを緩めるカラスバ、その仕草と言葉に本能的に『逃げないと』と悟り、身を捩りカラスバの胸を強く叩く
『っ、いやッ!離し──んんッ…ふぁ…っ、ぁ…んんっ』
シオンの言葉を塞ぐように、カラスバが唇を奪いシオンの口内を犯す
『ふっ、ぁ……んッ……』
何度も角度を変えて深くねちこくキスされる
次第に、ピクッ、ピクッ…とシオンの体が少しはねてカラスバへ反抗する気力も薄れていっていく
なんでこんなに怒ってるのか、ここまで怒ることだったのか
それにカラスバさんは4年前の私と本当にただの友達だったの?
4年前の1年、どんな関係だったの?普通の友達なら こんなに執着されないはず
『(友達じゃなかったの…?……もしかしたら、恋人同士だったりしたの? )』
聞きたいが、シオンの口から漏れ出す言葉は全て甘い声とピチャ、という嫌らしい音だけだった
そして次第にカラスバの手はシオンの服に手をかけ、ゆっくりとシオンの服のボタンを1つ外す
その仕草にハッとした唇を強く噛みカラスバを睨む
『っ、ぃ、いやッ!!』
ポケットから、赤色の口紅を取りだしそれをカラスバに投げつける
「ッ…!!」
口紅はカラスバの額に当たり、痛そうに額を少し抑えそのまま何かを考えているのか行動が止まった
その時だった
〖ギュギュアッ!〗
───ドゴンッ!!
カラスバ目掛け、ホイーガが体当たりし、シオンとカラスバが乗っていたソファーごと倒してしまう
『きゃっ!?…ゔ…もしかして…フシデ…? 』
〖ギュギュ!〗
そのまま床で倒れ込んでいるカラスバから慌てて離れるとシオンを守るようにホイーガが前に出る
『…い、行こう…ホイーガ…っ』
〖ギュッ!〗
床に倒れ込んだまま動かないカラスバを少し心配げに見つめた後、床に落ちている自分のスマホを取り逃げるようにエレベーターの中へ逃げ込んだ
──ドゴンッ!!
「!?な、何!?」
「カラスバ様…!?」
下のロビーで話していたジプソとアザミが上から聞こえた物音に驚く
すぐにエレベーターへ向かおうとした瞬間、ポーン。と音を立ててエレベーターが開く
「!?姉さ───」
『っ……』
エレベーターから現れたシオンとホイーガに驚き、慌てて声をかけようとするがシオンはそんなアザミを無視して事務所を出ていった
「(姉さん…泣いてた……)」
一瞬だけだったが、しっかりと見えた
乱れた髪と服に綺麗に塗られていた赤色の口紅は雑に取られている
その瞬間、アザミの中で一気に怒りが沸く
そのまま無言でエレベーターへ乗り上へ上がろうとするアザミに対し、慌ててジプソも乗り込み上へ向かう
────ポーン、
上へ行くと、左のソファーが大きく倒れておりその傍にカラスバが倒れ込んでいる
「!カラスバ様!!」
ジプソがそんなカラスバを見て、駆け寄ろうとしたより早くアザミが動きカラスバの胸倉を掴み右頬を強く殴る
「アザミ!!お前!!やめろ!!」
「離してよッ!邪魔しないで!!」
ジプソが暴れるアザミを掴みそのまま、カラスバから離す
カラスバは頬を手で押えたあとぼーっと床に落ちている赤い口紅を見つめていた
「姉さんの事泣かして!!だからこういう時は姉さんに会わせたくなかったのにッ!!」
「アザミ!落ち着け!!」
「落ち着け…?
ハハッ…ジプソさんがアイツアイツの事を一番に想うように、私にとっては姉さんが一番なの!!」
ジプソの腕の中で暴れるアザミとそれを静止するジプソの声を他所にカラスバは口紅を握りしめる
〖ゔ、ぅ……ご、ごめんなさっ……〗
怯え涙を流しながら、必死に謝っていたシオンを思い出し頭を抱え大きくため息を着く
「なんしとんやオレは………」
アイツに過去の記憶はない
オレと付き合っていた時の記憶は無い
何も知らない今のアイツに当たっても意味が無い
それなのにオレは、感情1つ制御出来ず今のシオンへ当たって
───泣かせてしもうた。
〖──この口紅もカラスバさん好きかなって…〗
ヌーヴォの兄ちゃんにまんまと嵌められたにしろ、あの瞳はオレの事を想って赤色の口紅を態々買ったに違いない
赤色の口紅なんて滅多に付けないのに
「(それなのにオレは酷い事してしもうた)」
そう思いながら、まだあまり使われていない口紅を見つめた
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