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#青春恋愛
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夏希(なつき)
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奇蹟あい
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土曜日。
午前9時40分。
駅前。
玲は待ち合わせ場所に立っていた。
「……早く来すぎたか」
スマホを見る。
約束の時間まで、まだ二十分ある。
そのとき――。
「玲くーん!」
聞き覚えのある声。
振り返る。
「……」
一瞬、玲は言葉を失った。
そこにいたのは、いつもの制服姿とは違う星羅だった。
白いワンピース。
淡い色のカーディガン。
髪もいつもより少し整えている。
「お、おはよう……」
「ああ。おはよう」
「……どうかな?」
「何が?」
「服……」
玲は星羅を見る。
「似合ってる」
「……!」
星羅の顔が一気に赤くなる。
「そ、そう……?」
「ああ」
「……ありがと」
小さな声だった。
そして星羅は、玲の隣に並ぶ。
「じゃあ、行こっか」
「ああ」
二人は歩き始めた。
最初に向かったのは、駅近くのショッピングモール。
「玲くん、これどう?」
「似合うと思う」
「じゃあ、こっちは?」
「それも」
「……玲くん、適当に言ってない?」
「いや」
「じゃあ、ちゃんと見て?」
「……こっちのほうが似合う」
玲が指差した服を見て、星羅は嬉しそうに笑った。
「じゃあ、これ買う!」
「そんな即決でいいのか?」
「玲くんが選んでくれたから♪」
「……そうか」
その後も二人で店を回った。
星羅は楽しそうに笑い続けている。
玲も、いつの間にか少しだけ笑っていた。
「玲くんって、意外と優しいよね」
「そうか?」
「うん」
「普通だと思うけど」
「私には特別」
「……」
玲は少し照れたように顔を逸らした。
星羅はそれを見逃さなかった。
――可愛い。
もっと見たい。
もっと私だけに見せてほしい。
昼。
二人は駅前のラーメン店に入った。
「ここ、玲くんが好きって言ってたところだよね?」
「ああ」
「じゃあ私も醤油ラーメン!」
「同じでいいのか?」
「うん!」
二人で注文する。
しばらくして、ラーメンが運ばれてきた。
「いただきます!」
星羅が一口食べる。
「……美味しい!」
「だろ?」
「玲くんが好きなの、分かった気がする!」
玲もラーメンを食べる。
ふと、隣を見る。
星羅は嬉しそうにラーメンを食べていた。
「……何?」
「いや」
「?」
「楽しそうだなと思って」
「だって楽しいもん」
「そんなに?」
「うん」
星羅は笑う。
「玲くんと一緒だから」
玲の手が止まる。
「……そっか」
「うん♪」
食事を終えた二人は、ゲームセンターへ向かった。
「玲くん! あれやろ!」
「クレーンゲーム?」
「うん!」
星羅が指差したのは、大きなぬいぐるみ。
「欲しい?」
「ちょっと欲しい」
「じゃあ取ってあげる」
「え?」
玲が機械の前に立つ。
一回目。
失敗。
二回目。
失敗。
三回目。
「……取れた」
「えっ!?」
ぬいぐるみが落ちる。
「すごい!」
星羅が嬉しそうに拍手する。
「はい」
「え?」
「星羅のだから」
「……!」
星羅はぬいぐるみを受け取る。
そして大切そうに抱きしめる。
「ありがとう……」
「別に」
「大切にするね」
――玲くんから初めてもらったもの。
絶対に失くさない。
絶対に。
その後、公園のベンチで休憩する。
夕方。
「今日は楽しかったね」
「ああ」
「また行きたい」
「時間が合えばな」
「約束だよ?」
「……ああ」
星羅は満足そうに笑う。
そのとき。
「すみません」
後ろから声がした。
二人が振り返る。
そこには、同年代くらいの男子が立っていた。
「天城さん……ですよね?」
「……え?」
「学校で見かけて、可愛いなって思って……」
男子は緊張した様子で続ける。
「よかったら連絡先――」
「ごめんなさい」
星羅が笑顔で遮る。
「私、好きな人がいるので」
「……え?」
「だから、ごめんなさい」
男子が去っていく。
玲は星羅を見る。
「……好きな人いるんだな」
「うん」
「誰?」
「……」
星羅は玲を見る。
そして――。
「秘密♪」
「そうか」
「いつか教えるね」
星羅は笑った。
けれどその瞳は――。
玲だけを真っ直ぐ見つめていた。
帰り道。
駅で別れる直前。
「玲くん」
「ん?」
「今日はありがとう」
「こっちこそ」
「……ねえ」
「何?」
「また一緒に遊んでくれる?」
「ああ」
「本当に?」
「約束しただろ」
「……うん」
星羅は嬉しそうに笑った。
「じゃあ、次も私が予定決めるね」
「好きにすれば」
「ふふっ♪」
玲が電車に乗り、遠ざかっていく。
星羅はその姿が見えなくなるまで、ずっとホームに立っていた。
そして――。
「……今日は幸せだったな」
胸元に抱えているぬいぐるみを見る。
「玲くんがくれた……」
ぎゅっ、と抱きしめる。
「……これも私だけの宝物」
星羅はスマホを取り出した。
今日撮った写真。
玲の後ろ姿。
玲がラーメンを食べている姿。
玲が笑った瞬間。
そして――二人で撮った一枚。
星羅はその写真を見つめる。
「……もっと欲しい」
写真も。
時間も。
思い出も。
玲の笑顔も。
玲の未来も。
「全部、私のものにしたいな……」
夕暮れの駅で。
星羅は幸せそうに微笑んだ。
まだそれは――。
玲には見せない、彼女の小さな独占欲だった。
コメント
3件
もうね、読んでる間ずっとニヤニヤが止まらなかったんだけど!!😭💕 白ワンピの星羅ちゃんに「似合ってる」って言う玲くんのギャップ萌えがヤバすぎる〜!クレーンゲームでぬいぐるみ取ってあげるところも、さりげなく優しいし…「玲くんから初めてもらったもの」って宝物にするところ、尊すぎて胸が苦しいよ…!最後の独占欲、ちょっとダークな感じがまた可愛くて、続きが待ちきれないよ〜🌸✨