いわゆる、デジャブ、というやつなのだろう。妙な既視感も気の所為だ。と言っても、こんな、あれ以前にもあったような…経験は何度もしている。
人生あるあるなんだろう。
キーンコーンカーンコーン
妙な感覚に浸っているとチャイムが鳴った。
今日が始まった。今日が終わったら、今日こそ、
戻るんだ。
”朝から持久走とかきちー”
”体操服忘れたー”
”おま、それ、怒られるやつ”
”だー、走ったあとに数学だってよ”
”宿題やってない”
”見せて”
”おい次英語小テスト”
”まじかよー”
”社会かー”
”歴史になってからよくわかんない”
”覚えること多すぎつーかな”
”飯だー”
”ゼリーあんじゃん!くれよ”
”乞食か”
”今日五時間授業サイコー”
”眠たい…”
”国語は寝る時間だもんな”
今日が終わった。
今日も頑張った。
今日も、戻りたい、そんな気持ちと、時間だけが加速する。
スマホの記事を再度確認した。
”眠る前に、戻りたいときのことを深く思い出す_
それは詳細なほど成功する__
その時の感情、後悔していることも
目をつむり、心のなかでひたすら唱えてください”
僕は目を閉じた。夢の中なら何でもありらしい。夢を夢と思わず、現実だと思うことで夢の世界で過去に行くことができるんだとか。
僕はできる限り思い出した。
僕が、
理想の僕じゃなくなった
あの日について。
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