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浅く見えた飴玉は、雪も溶ける間に弾けて壊れるだろう。
それは何故かって?
その答えはあのときの君の心の中にある。
懐かしいことだ。
人の形を成した 暗く閉じているアレを最後に見たのは、風が冷たく流れて仕方のない見し宵だっただろうか。
振り返れば長いように見えて短い。
細かく割れた「飴玉」を集めて私は君を見始めた。
またあの音は、苦く甘い、壊れた旋律になる運命。
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壊れた言葉の瓶がまた海に流されて空の彼方に行ってしまった。
まだ瞼が重っ苦しく開いた身体には気怠さと妙な爽快感で満たされていた。
ただ、木の葉が波紋をうつのを無視して耳を塞ぐ。
ただ、欠伸をして変わってくれない幻想から逃げようとする。
どうしたってこの事実からは逃げられない、そんな事は「分かって」るのに。
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夜が来た。
今日は吹雪の霧で消えそうな白い鯨がただ流れていた。
現実味のないこの水槽が一番見覚えがあった。
でも、水槽にいるのはこの鯨では無いのかもしれない。
本当に水槽にいるのはもしかしたら、『』かもしれない。
そんなこと考えたって「意味ない」のに
あの鯨も水槽の中が気になるのだろうか。
いや、そんな事はありえない。
こんな枠だけ綺麗でガラスの曇った水槽に誰も興味はない。
はずだった。
そのクジラはこちらを見ていた。
はっきりと、こちらを捉えている。
鯨の輪郭が大きくゆっくりと鮮明になっていく。
音はなかった。
それに恐怖した為か、また目を瞑った。
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朝未だき。
大嫌いな彼奴がカーテン越しにやって来た。
見たくない。 怖い。
彼奴は、「こっち来いよ」なんて呑気に笑って言った。
誰が行くものか。
誰が見るものか。
足を動かしたくない。
いや、動かないの間違いだ。
…そんな事は今更どうでもいい。
また、暗闇の音に耳を濁した。