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#復讐
すっこ
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#短編集
りすぐみ
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#恋愛
ばたっちゅ
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.:・.。. .。.:・
「それでね!もうすっごく素敵な出会いだったの!」
ジェニの恋愛話に大勢の人が披露宴会場で笑ったり談笑している声が聞こえる、竜馬は小さな小休憩室に足を入れた
そこには長椅子に色とりどりのマザーズバッグやオムツバッグが鎮座されていた、披露宴でも見かけたが、メビウス社員は竜馬が今まで気が付いていないだけで、子供連れが多かった
披露宴会場を走り回る、小さな子供達、泣き叫ぶ赤ん坊、おそらくその子達のものだろう、端には子供用の食事椅子が並べられていた、ここは子供が休憩したりオムツを変えたりする場所だ
でも、今は誰もおらず、竜馬が求めていた静けさがここにはあった、少しだけならここで雲隠れしていてもいいだろう、ふと並べられているベビーベッドの一つを見ると、小さな男の子の赤ん坊がスヤスヤ寝ていた
きっとこの子も今日招待されているメビウスの社員の誰かの子供に違いない、母親はどこにいったんだろう?そこで竜馬は先ほどの文也を思い出した
竜馬はため息をついた、近い将来・・・自分に甥っ子か姪っ子が出来るのもそう遠くないだろう・・・しかも文也の嫁も神崎広告代理店だ、くそ面白くない、竜馬はベビーベッドに寝ている赤ん坊をじっと観察していた
その時、ドアが勢いよく開いて、驚いたことに神崎ジェニが入って来た、当然向こうも驚いていた、彼女は竜馬がいるのに気が付くと、ハッとして険しい表情を作った
「その子に何をしたの?」
声が怒りに満ちている、竜馬は両手を上げた
「別に串に刺して丸焼きにしたりしないよ、眠っている姿を見ていただけだ」
ジェニは急いでベビーベッドの傍に行って覗き込み、彼に何もされていないかどうか念入りに確かめた
「いつから赤ちゃんに興味を持つようになったの?」
「赤ん坊は嫌いじゃないよ、見るだけならな」
寝ている赤ん坊が無傷だったことに安心したジェニは、竜馬から少し離れて、いつものごとく、彼と戦う姿勢を取った
体にピッタリした光沢のあるエンジ色のミニドレスが、女性らしい体つきを強調している、竜馬は今日の彼女は最高に綺麗だと思った、おろした艶やかで波打っている髪、前髪を七三に分け、片方の耳の上に、パールのピンを付けている
それがいつもより幼く見えた、ブラックの網タイツが彼女のカモシカのような脚をさらにいっそう美しく引き立てる、腰の位置がとても高い・・・シルバーのハイヒールを履いた、背の高い彼女は迫力があって、長身の竜馬の隣に並んでも、とても見栄えがする
背中はどれぐらい開いているんだろう・・・これだけピッチリしていたら尻の形も良く見えるだろう、竜馬は後ろ姿も見たかったが、どうせ彼女はすぐ怒って出て行くから、その時にたっぷり拝めるだろうと思った、もうカウントダウンを始めてもいいぐらいだ
案の定、彼女は竜馬の何かに腹を立てたみたいだ
「悪いけど」
明らかに喧嘩ごしだ
「あっちへ移動してくれる?マザーズバッグの荷造りするように真紀ちゃんに頼まれたの!そっちじゃなくて―あっちへ!!」
ジェニは竜馬を押しのけると、大きなマザーズバッグに携帯用のオムツ交換シートや、アンパンマンのおしりふきガーゼハンカチ小さな野菜ジュースパックとジップロックに圧縮されているベビー服を詰め込みだした
完全に竜馬を無視してる
「花嫁は私の大切な社員だし、友達なの!」
「社員を友達なんて甘いな、アイツらは自分の都合が悪くなったら、辞めていなくなるだけだ」
ジェニがとがめるような目つきで竜馬を見た
「寂しい人ね!」
両手いっぱいの使い捨てオムツを数えた後、怒りにまかせ、それらをバッグに詰め込んだ
「僕を心底嫌っているんだな」
「当たり前じゃない、あなた私に何をしたか覚えてないの?」
竜馬が一歩ジェニにずいっと近づいた
「なっ・・・なによ!ヤル気?」
と威勢の良い事を言ってもジェニは壁まで後ずさりした・・・壁と竜馬の間に逃げ場はない
「動かないで・・・」
竜馬が優しく言った
「髪に何かついてる」
「え?む・・・虫?」
大の虫嫌いのジェニは「何か」といえば虫しか思い当たらない、サァーッと彼女が青ざめる
「はははっ・・・早く取って!」
彼女に構ってもらいたくて、小学生のような安直な見え見えの手口をしている自分に竜馬はうんざりした、それでも、もうずっと前から彼女の髪に触りたかったので、手をそっと差し出した
驚いたことに彼女はじっとしていた、なので綺麗な巻き毛をそっと竜馬は撫でた、触れた瞬間・・・彼女はうつ向いてわずかに身をすくめただけだった、彼女の髪は思ったより、細くて柔らかで密集していた、そして感覚は冷たいのかと思ったが、とても温かい
生クリームに指を入れているような手触りに・・・股間がうずいた
「と・・・取れた?」
「何が?」
「むっ・・・虫よ!」
彼女は今にも泣きだしそうに見える、目が忙しくあちこち動いている
―ソバカスがないじゃないか・・・レーザー治療でもしたのだろうか?―
「まだ」
「ほっ・・・本当に何かついてるの?」
「すっごいついてる!こりゃ取るのが難しい」
「ええ?」
自分の髪にきっととんでもないものが付いてるのを想像して、怯えている彼女をさらに壁に押し付け、自分の体で覆い、彼女の香りを胸いっぱいに吸い込んだ、そっと髪を耳にかけるとピンクの耳たぶに、小ぶりのルビーが刺さっている
―こーゆーのが好きなのかな?―
それなら大きなダイヤのピアスはどうだろう?プレゼントすると彼女は喜ぶかな?・・・そんな事を考えながら竜馬は彼女がまとっている香りの雲にじわじわと入り込んだ、夢心地だ
ジェニは竜馬の言葉を信じ、自分の髪に虫がついていると勘違いし、恐怖のあまり動けなくなっている、どういう訳か彼女を前にすると竜馬の中で長年抑え込まれていたものが、むくっと頭をもたげて起き出してくる
しゃれた口説き文句も、巧みな誘惑も・・・慎重な準備期間も何も考えられない、竜馬はただ彼女に襲い掛かって、古代から培ってきた男の本能を彼女の中で発散させたかった
―彼女だけだ・・・こんなにも彼女だけ―
「もももっ!もう離れて!」
竜馬はもう一度キスをして彼女の唇を塞ぎたくなった、拒絶の言葉を吐かれるよりもキスを返してもらうほうがずっといい
その時、突然バンッとドアが開いて、メビウスの女性社員が驚いた甲高い声をあげた
「あら!まぁ!ごめんなさい!」
女性があわててドアをバタンを閉めて去って行った
「もうっ!」
ドンッとジェニが竜馬を突き飛ばして、マザーズバッグを肩にかけて、バタバタと憤慨して逃げて行った
コメント
1件
わあ、第75話、読み終えました! 竜馬が赤ん坊をじっと観察してるところから始まって、ジェニの登場で一気に空気が変わるところが好きです。「虫ついてる」って安直な口実で距離を詰める竜馬の子どもっぽさと、それを真に受けて怯えるジェニのギャップが可愛い。でも「生クリームに指を入れるような手触り」って表現が生々しくて、彼の抑えきれない想いがひしひし伝わってきました。最後に邪魔が入って逃げられちゃうもどかしさ…次が気になります!