テラーノベル
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#溺愛
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その頃、会社では─
夜21時。フロアの照明を落とし、僕と佐藤はモニターに向かっていた。
「データの足跡(ログ)は嘘をつかねえ」
佐藤の指がキーボードを叩く。僕たちは常務が就任以来、外部へ送り続けているデータの通信記録を追っていた。
「製造コストに特許リスト……それに全社員の『給与30%カット』の試算表か」
僕の画面を覗き込んだ佐藤が、椅子を蹴り飛ばさんばかりの勢いで立ち上がった。
「さ、30パーセントだと……!? 立て直すどころか、絞りかすにするつもりか。ふざけんな!」
そこに、青白い顔の王子谷がふらりと滑り込んできた。
「……死線を越えて、撮ってきたっすよ。二人の音声」
「よくやった王子谷。顔、ひでえな」
「……思い出したくもないっす。耳に残響がこびりついて離れないんすよ……」
佐藤はレコーダーを受け取ると、すぐさま解析ソフトを走らせた。スピーカーから漏れ聞こえるのは、耳を汚すような声とベッドが軋む音、それ以上に汚い密談だった。