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あっとくん視点
……寝たフリしてた。
いや、
最初は冗談のつもりだったんだけどーー
まさか本当に、月ちゃんが
「好き」
って言うなんて、思わないじゃん。
『私、先輩のこと……好きなんです』
その声を聞いた瞬間、心臓止まるかと思った
呼吸、バレないように、浅くして。
体、動かさないように、全力で集中して。
でも、耳はもう全開で、
君の言葉を一語一句、逃さないようにしてた
どんな告白よりも、ずっと優しくて、
どんなセリフよりも、まっすぐで
……あれは、夢じゃなかったよな。
『起きてたら、今の、忘れてください』
いや無理だって。
忘れられるわけない。
たぶん、一生忘れられない。
だって、俺、ずっと君に恋してた。
気づいたときにはもう、
君の笑い声とか、目を細める仕草とか、
たまにぽつりとこぼす弱音とかーー
それ全部に、惹かれてた。
だから今、今すぐ飛び起きて、
君と手を握って
「俺も好きだよ」
って言いたかった。
……でも、怖かった。
「今の聞こえてました」
って言った瞬間、
君が泣くんじゃないかって。
君が背を向けて、
また距離を置こうとするんじゃないかって。
だから、
今はーーただ、
嬉しさを胸の中で爆発させながら、
必死で黙ってた。
「(……もう、だめかも)」
寝てるフリしてんのに、
口元、ちょっと緩んでる気がする。
鼻の奥が熱い。
心臓が、煩すぎる。
バレるなこれ……絶対バレる……。
でも、今だけは。
俺にとって一生モノの”秘密の告白”
こっそり受け取らせて。
そして、次はーー
俺の番だ