カツカツと足音が響く。
「う、酷い匂いだな。」
ずん。と重くのしかかるような空気の中、歩いていく。
「ここは確か、使用人用の部屋だったはずだ。」
隊長は相変わらずずんずんと進んでいく。
スレに上げてないだけで数多の男だと思われる人型を肉塊にしていた。
ドアを開ける。するとまたバラバラにされた少女が2人いた。部屋の隅に座り込んでいる子も1人いる。
「…」
隊長の顔が怖い。
「隊長。怖がっちゃいますよ」
「クロア。言いたいことはわかる。だけどもう少し優しい顔を心がけてほくれないか?」
「ああ、すまない。」
恐ろしい雰囲気が途端に霧散する。
そしてすぐ死体を棺に詰めることにした。
先にバラバラになっている双子だと思われる少女達を繕う。
「家族を引き離すのは可哀想だからね。」
「ああ。確かにそうだな。」
「そうですね。」
ごそ。と動く音が聞こえる。そちらを見ると部屋の隅に座り込んでいた少女が動き出していた。
「いきてる…?」
「やっぱり生きてたんだ。」
「隊長?それって…」
視線が集中したことに驚いた少女が逃げようと立ーーーー
「ワーッ!待て!服ボロボロ!立たないでー!」
「幼いとは言えレディの裸をみたいわけじゃないんだ隠してくれ!」
「ごめんね。お嬢さん。一旦この布をかぶっててくれないかい?後ろがやかましいから。」
「?…???」
少女は困惑しつつも下を見て…あわてて隠したんだろう。音から焦りがわかる。
「柚子城。お前のコート系統貸せ」
「隊長の服のほうがいいんじゃ?」
「お前ののほうがいろいろ優れてる。」
「そうでしたね隊長は自分のことになるといろいろ雑でしたからね!ちょっと待っててください!」
新品はないかと見てみるも無い。
ならばとできるだけ綺麗で新しいものを選ぶ。
「はい用意できましーーーって隊長の着せてるじゃないですか!」
「シャツとズボンだけな。ほら上着よこせ。後で新しく作ってやるから。」
「了解です。お嬢さん。自分で着れるかい?」
こくりと頷くお嬢さんを見て隊長は棺に詰める作業に戻ったみたいだ。
トレイ先輩はまだ目をそらしているようだ。肌をみないようにしておくにしても音で終わったことくらいわか…耳も塞いでる…
ふと引っ張られる感覚にそちらを見ると少女が近くに来ていた。
「…」
「どうしたんだ?」
少女がビクリと肩を震わせる。
「…?来るか?」
ひとまず弱点となる場所を全体的に晒す体制…両手を軽く広げハグをねだるような姿勢で敵意が無いことを表しながら軽く首をかしげ聞く。
「…、…!」
最初はおずおずと近寄ってきたが俺の胸元にひっつき猫のように胸をさわり…
もしかして俺の胸と自分の胸を比べてる…?いや、気のせいか。
収まりのいい場所を見つけたようで頭を預けてくる。
「…危機感もうちょっと持ったほうがいいと思うぞ。」
そう言っても少女は首をかしげるばかりでよくわかってないようだ。
「ごめんね。柚子城に任せっきりで。」
「いえ。大丈夫ですよ。」
隊長が近づいても大丈夫なようだ。
「あ、俺そろそろ目を開けていいか?」
「ずっと前に開けててもよかったんですよ?」
「教えてくれてもよかったんじゃないか?」
少女が少し怯えているようにひっついてくる。
ただ本当に怯えているほどでは無いようだからトレイ先輩の兄らしさに安心感を覚えているのだろうか。まだマシだろうな。
あ、隊長にひっついた。
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