テラーノベル
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今回は元貴(メス虎)×滉斗
ペット×飼い主
物語の舞台 2人の家
書きたい感情 優しさ
結末 想定外の結末
いつものように、元貴はソファーで丸くなっていた。テレビは消え、部屋は薄暗い。急な停電だ。
「ご主人様、停電です。暗くて何も見えません。どうしましょう、がおー。」
「わかったよ、元貴。ブレーカー見てくるから、そこで待ってて。動かないでね、危ないから。」
「はい、ご主人様。ここで待ってます、がお。」
滉斗は懐中電灯を取り出し、ブレーカーへと向かった。元貴は言われた通り、ソファーでじっと待っている。しかし、暗闇が元貴の不安を掻き立てた。
「ご主人様、まだですか?怖い、がお。」
「大丈夫、元貴。すぐそこまで来てる。もうちょっとだけ待っててな。」
滉斗はブレーカーを見つけたが、原因が分からない。仕方なく懐中電灯を口にくわえ、一つ一つ確認していく。その間も、元貴の不安そうな声が聞こえてくる。
「ご主人様…もしかして、迷子になった猫ちゃんの気持ちってこんな感じですか?がおーん…。」
「違う違う(笑)。迷子じゃないよ。すぐ明るくするから!ちょっと待ってて。」
やっと原因を特定し、ブレーカーを上げた。部屋に明かりが戻り、元貴はほっとした顔をした。
「ご主人様、明るくなった!よかった、がおー。」
「驚いた?大丈夫だった?」
「はい、ご主人様のおかげで大丈夫です、がお。でも、暗闇はやっぱり苦手です、がおー。」
「そっか。でも、怖かったら、いつでも呼んでいいからね。」
その言葉を聞いて、元貴は少しだけ照れたように顔を赤らめた。
「ご主人様…ありがとう、がお。」
「どういたしまして。さてと、何か温かいものでも飲むか。ホットミルクでも作ろうか?」
「ホットミルク、いただきます!ご主人様が作ってくれるホットミルク、1番好きです、がお!」
滉斗は笑って、キッチンへ向かった。元貴はその後ろ姿をじっと見つめている。
「はい、どうぞ。熱いから気をつけてな。」
「ありがとうごさいます、ご主人様。…あの、ご主人様。」
「ん?どうしたの?」
「さっき、迷子になった猫ちゃんの気持ちって…ちょっとだけ、分かりました。怖いけど、誰かがいてくれるって、凄く嬉しいんですね、がお。」
滉斗は少し驚いた表情で、元貴を見つめた。そして、優しい笑顔を見せた。
「そっか。良かった。何かあったらいつでも言ってな。…いつも見てるから。ゆっくり飲んで、あったまりなよ。」
「はい!いただきます、がお。…ご主人様、本当にありがとう、がおー。」
元貴は嬉しそうにホットミルクを飲み始めた。滉斗はそんな元貴を見守りながら、心の中で思った。「…本当に、良い子だ。」と。停電という小さな出来事が、2人の距離をほんの少しだけ近づけた、温かい夜だった。翌日、電気会社からの謝罪とともに電気が復旧したが、滉斗は昨日の元貴がみせた少し寂しそうな顔が忘れられずにいた。家に帰宅後、サプライズとして可愛い虎の形をしたLEDライトを買って渡すことにした。
「はい、元貴。これプレゼント。可愛いだろ?」
「なんですか、これ?ライト?…わあ!虎さんだ!私みたい!可愛い!ご主人様、ありがとう、がお!大切にします、がおー!」
元貴は大喜びでライトを受け取った。そして、その夜から、元貴の部屋は、小さな虎の光で優しく照らされるようになった。
停電で元貴が心細かった時に使って、少しでも安心感を持ってくれたら嬉しい。今回の停電を機に、より一層元貴に対する優しさが増した気がした。
「喜んでくれて良かった。」
コメント
4件
ほんわか系?で1番好きなんだが????る?る?