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「…でっかいな…」
思わずそう呟くほど立派な門。宮城県一の難関校、白鳥沢学園の正門だ。
「大地さーん荷物どうしますー?」
「おぉ田中!とりあえず降ろしといてくれ!」
あまり長々とバスを留まるのも良くない。とりあえず降ろすように頼みながら1枚の紙を取り出す。今度の合同合宿の予定表だ。いつもなら、そこにどこに集まればよいのかが書いてあるのだがー
「…ん?おかしいな…」
「だーいち!どうした?」
「スガ。いや、白鳥沢に着いたらいいけど、どこに集まればいいのか書いてなくてな…」
「んー?あほんとだ。じゃあどうする?とりあえず他の高校も待ってみる?」
「そうするしかないよな…」
困り果てて予定表に目を通す澤村。予定表には、日程、開催地、持ち物などは書いてあるが、他には何も書いてなく、これからどうすればいいのかわからない状態だった。
「オイヨイヨイそんなとこで突っ立ってどうしたよさーむらさん?」
背後から声出して振り返ると、赤いジャージに特徴的な髪型、音駒の主将、黒尾がいた。
「いや、こっからどうすればいいのかわからなくてな。黒尾知ってるか?」
「あれ、そっちも知らないのか?俺たちは東京勢だから教えられてねぇのかと思って。なぁ木兎?」
「おう!でも俺その紙無くしたけどな!」
「予定表は俺が預かってます。しっかりしてください。」
黒尾が後ろに呼びかけるとこれまた特徴的な髪型の青年、木兎が答えた。呆れる黒尾の横から顔を出した青年がそう続ける。
「どこにも書いてなかったから、案内が入るのかと思いましたが。」
まじかよさすがあかーし!そう喜ぶ木兎を無視して青年、赤葦が続ける。
「どこも知らされてない感じか?」
困ったなとこぼす澤村の背後でまた、バスが止まる音がした。
「けーやっと着いた!この中に、ウシワカちゃんがいると思ったら吐き気がするね!」
「つべこべ言ってねぇでさっさと降りろ!」
言い合いをしながら降りてくるのは、青葉城西高の及川、岩泉だ。
「…これで、全員だな」
顔を強張らせる澤村に不思議そうな顔を向ける及川に今までの話を説明する。全員が集まったのに、誰1人として、これから行くべき場所を知らないことを。
「よくわかんないけど、とりあえずそっちよろ!道塞いじゃ駄目だし!」
パンパン、と手を叩きながら指示する及川。全員で正門側に移動したが、2、3人遅れてくる者がいた。
「ツッキー大丈夫?体調悪いの?」
「国見どうした?荷物持ってやるから早くこっち来いよ」
「研磨大丈夫か?バスで酔ったか?」