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第九話「降伏」
古流斬は指定された廃工場へ足を踏み入れた。
静寂。
「来たか。」
第一幹部・ゼノが姿を現す。
その背後には拘束されたはるか。
古流斬は静かに言う。
「はるかを返せ。」
ゼノは笑う。
「その前に。」
「私を倒してみろ。」
古流斬はため息をついた。
「後悔するぞ。」
次の瞬間。
曖昧。
ゼノの視界から古流斬が消えた。
「なっ──」
ドンッ!!
一撃。
ゼノは壁まで吹き飛ぶ。
「速い……!」
古流斬は一切追撃を止めない。
蹴り。
拳。
剣。
全てが見えない。
ゼノは何も反応できない。
「ぐっ……!」
「こんな……!」
「これが世界理の外……!」
古流斬は首元へ剣を向ける。
「終わりだ。」
ゼノは笑った。
「本当に?」
パチン。
能力発動。
現実支配。
はるかの首元へ一本の黒い刃が現れる。
刃先が首へ触れる。
はるかは息を呑んだ。
古流斬の動きが止まる。
ゼノはゆっくり立ち上がる。
「一歩でも動けば。」
「彼女の首は飛ぶ。」
古流斬は睨む。
「……卑怯だな。」
ゼノは笑う。
「勝てばいい。」
「それだけだ。」
古流斬は黙る。
はるかは叫ぶ。
「古流斬!」
「私のことはいい!」
「倒して!」
古流斬は首を横に振る。
「……無理だ。」
ゼノはさらに刃を押し当てる。
首から一筋の血が流れた。
「古流斬。」
「選べ。」
「戦うか。」
「彼女を守るか。」
長い沈黙。
古流斬は静かに剣を地面へ置いた。
カラン……
「……降参だ。」
ゼノは満足そうに笑う。
「正しい判断だ。」
はるかは涙を流す。
「なんで……。」
古流斬は優しく笑う。
「約束しただろ。」
「必ず助けるって。」
「だから。」
「今は生きていてくれ。」
ゼノは部下へ命令する。
「拘束しろ。」
特殊な手錠が古流斬の両手にはめられる。
古流斬は抵抗しなかった。
ゼノは静かに呟く。
「これで。」
「最初の障害は消えた。」
その頃、誰もまだ古流斬が捕らえられたことを知らなかった。
⸻
第九話 完
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榎本くもり
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コメント
1件
第9話、読みました…! 古流斬が剣を置くシーン、胸がぎゅっとなりました。「約束しただろ」「今は生きていてくれ」って、もう、その言葉の重みがずしんと来て。はるかを守るために降伏を選ぶ、その優しさと強さ、好きです。ゼノの卑怯さには怒りが湧いたけど、それ以上に古流斬の“生きていてくれ”という選択に心打たれました。最後の一文で次の展開が気になって仕方ないです…!🤍