朝、彼女から貰った袴を着た。
「太陽の香り…」
いや待て、キモいぞ、かなりキモいぞ今の僕。
「ん”」
少し咳払いをし気持ちを切り替えて、今日も少し働く。
「あ…」
食料棚をみると驚くべき事に気付いた。
なんとまぁ塵一つ無い美しい空の棚だった。
仕方がないので今日は朝ごはんを抜く事にする。
「はぁ…」
だとしても流石にお腹が空くものだ。
抜いてから気付いたが、僕は普段から昼ご飯を抜く派なのだ。つまりどうなるかというと…水だけで晩御飯まで頑張らなければならないと言う事だ。
「死ぬ…」
「あの、大丈夫ですか?」
「…え、」
「あ!あの時の方!」
「はぁ…」
「袴着て下さったんですね!」
「まぁ、仕舞うよりかは良いかなと…」
「というかどうしたんです?萎れた大根みたいな顔して…」
「いや…今日まだ何も食べてなくて…」
「今買ってきますから、そこら辺で待ってて下さい!」
「あ、ちょっ………行っちゃった…」
仕方がないので川沿いの石に座って彼女を待つ事にした。
「お待たせしました!おにぎりですが、よかったら!」
「わざわざありがとうございます。」
彼女はおにぎりを持ってきてくれた。
助かった。このまま飢え死ぬかと思った。死なないが。
すると彼女は横に座ってきた。
綺麗な袴が汚れそうな気がした。
「あの、裾汚れませんか?」
「大丈夫ですよ、洗えば平気ですから!」
「はぁ…」
「というか運命じゃないですか?」
「は?」
意味がわからない。突然何を言うのかと思いきや「運命」だなんて、おかしい。
「だって3回も約束せず偶然会えたのですよ?運命以外考えられません!」
どれだけ頭がお花畑なのか。運命だから何だと言うのか。結婚しろとでも?意味がわからない。
「もしかしたら神が引き合わせて下さっているのかも…!」
「…大丈夫そうですか?」
「?何がですか?」
「頭の方です」
「失礼ですね!いつも正常に働いてますよ!」
とても正常とは思えないが。
「あの良かったらお名前教えていただけ無いでしょうか?」
「名前…」
もう3回も会っているのだからそろそろ名前を教えてもいい様な気がした。
「僕は…_____」
「素敵な名前ですね!私は大髙幸江といいます!」
「大髙さんですね、分かりました。」
「大髙じゃなくて、幸江です!」
「はぁ分かりました」
「わかったなら結構です!」
「あのお礼…」
「結構ですよ!あくまで善意なので!」
そう言って人混みの方に走って行った。
「はぁ…」
ため息が多い日々。でも、また明日彼女…幸江さんに会える事に期待している自分が居た。
「運命……ねぇ… 」
幸江さんが放った「運命」という事の意味に悩まされたが、次第に考えるのが無駄な気がしてきた。まぁ、そんなのどうでもいいだろう。
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