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みら

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kaede🍁
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翌朝。
宮舘は深澤がまだ眠っていることを確認すると、渡辺へ「少し出てくる」とだけ伝え、岩本の家へ向かった。
インターホンを押すと、すぐにドアが開く。
「館さん……。」
そこに立っていた岩本は、ほとんど眠れなかったのか、目の下には濃い隈ができていた。
「入って。」
いつもの落ち着いた声とは違い、どこか力がない。
宮舘は静かに家へ入り、リビングのソファへ腰を下ろした。
岩本も向かいに座る。
しばらく重い沈黙が流れたあと、宮舘が口を開いた。
「照。」
「昨日、翔太がふっかから全部聞いたよ。」
岩本は静かに頷く。
「知らない香水。」
「女性物のイヤリング。」
「それが原因で、ふっかはずっと一人で悩んでた。」
その言葉を聞いた瞬間、岩本は驚いたように顔を上げた。
「……イヤリング?」
「うん。」
「服のポケットから出てきたらしい。」
岩本は目を見開いたまま固まる。
「俺……。」
「ポケットにイヤリングなんて入ってたこと、知らなかった。」
宮舘は静かに岩本の表情を見つめる。
驚き方に演技は感じられなかった。
岩本は両手で頭を抱える。
苦しそうな声だった。
「ドラマの撮影現場で。」
「共演している大御所女優がいて……。」
「俺のことをあまり良く思ってないみたいで。」
「撮影の合間に、何度か嫌がらせみたいなことをされてた。」
宮舘の表情が少し険しくなる。
「嫌がらせ?」
「悪口を言われたり。」
「わざとぶつかられたり。」
「その人、香水をつけてるんだ。」
岩本は自分のシャツを見つめながら続けた。
「その香水の匂いが服に移ってる。」
「だから……。」
「ふっかは知らない香水の匂いがしたんだ。」
宮舘は静かに頷く。
すべての話が繋がっていく。
「イヤリングも……。」
岩本は苦しそうに息を吐く。
「きっと、その人が嫌がらせでポケットへ入れたんだと思う。」
「俺は全然気付かなかった。」
「洗濯する前に確認もしなかった。」
そう言うと、岩本は深く頭を下げた。
「俺の配慮が足りなかった。」
「ふっかに、こんな思いをさせて。」
「全部、俺の責任だ。」
宮舘はしばらく黙っていたが、やがて穏やかな声で言った。
「照。」
「ふっかは照を疑いたかったわけじゃない。」
「信じたいのに、不安に負けそうになっていただけなんだ。」
岩本は目を閉じ、小さく頷く。
「分かってる。」
「だから余計につらい。」
「俺がちゃんと気付いていれば。」
「ふっかは泣かなくて済んだ。」
宮舘は立ち上がり、岩本の肩にそっと手を置いた。
「まだ終わってない。」
「ちゃんと話せば、きっとふっかにも伝わる。」
岩本はゆっくり顔を上げる。
「うん。」
「今度は逃げない。」
「全部、自分の言葉で話す。」
そう答えた岩本の表情には、深い後悔と、大切な人を取り戻したいという強い決意が宿っていた。
___________
岩本は宮舘の言葉を静かに聞き終えると、ゆっくりと顔を上げた。
「館さん。」
「俺……。」
「ふっかに会う前に、ちゃんと蹴りをつけたい。」
その目には迷いはなかった。
「今のまま会っても、またふっかを不安にさせるだけだ。」
「全部はっきりさせてから迎えに行く。」
宮舘は静かに頷く。
「それがいいと思う。」
「ふっかも今は心が限界だから。」
「照が中途半端な状態で会うより、ちゃんと整理してからの方がいい。」
岩本はスマートフォンを手に取り、マネージャーへ電話を掛けた。
数回の呼び出し音のあと、電話が繋がる。
「お疲れさまです。」
「少し相談があります。」
岩本はここ数週間、撮影現場で大御所女優から受けていた嫌がらせを、一つひとつ話し始めた。
ぶつかられること。
強い香水が服に移ること。
そして、恋人の前で女性用のイヤリングが服のポケットから出てきたこと。
「正直。」
「ポケットにイヤリングが入っていたことは、俺も今初めて知りました。」
「もし故意だったなら、このままでは撮影も続けられません。」
電話の向こうでマネージャーは真剣に話を聞いていた。
『分かりました。』
『すぐに監督と制作へ報告します。』
『事実確認も含めて対応しますので、岩本さんは安心してください。』
「お願いします。」
電話を切ると、岩本は深く息を吐いた。
「もっと早く相談するべきだった。」
「俺一人が我慢すればいいと思ってた。」
「その結果。」
「ふっかまで傷つけた。」
悔しそうに拳を握る岩本を見て、宮舘は静かに声を掛ける。
「照。」
「後悔するより。」
「今できることをしよう。」
「うん。」
岩本は力強く頷いた。
「全部終わらせて。」
「ちゃんとふっかを迎えに行く。」
宮舘を家まで送り届けると、岩本はそのまま撮影現場へ向かった。
マネージャーや制作スタッフと話をするためだった。
___________
宮舘が家へ戻ると、深澤はリビングのソファで膝を抱えたまま座っていた。
渡辺も心配そうに隣へ座っている。
深澤が不安そうな表情で顔を上げる。
宮舘は深澤の向かいへ座り、穏やかに微笑んだ。
「ふっか。」
「照は、ふっかを裏切ってなかった。」
その一言に、深澤は息を呑む。
「……え?」
「香水にも。」
「イヤリングにも、ちゃんと理由があった。」
「照も、ポケットにイヤリングが入っていたことは知らなかった。」
深澤の瞳から、ぽろりと涙がこぼれる。
「本当に……?」
宮舘は優しく頷いた。
「それと。」
「照は今、撮影現場で起きていたことをきちんと終わらせようとしてる。」
「ふっかに会う前に、全部片付けたいって言ってた。」
深澤は口元を押さえ、静かに泣き始めた。
渡辺はそっと深澤の肩に手を置く。
「ふっか。」
「大丈夫。」
「ちゃんと二人で話せば、絶対解決する。」
宮舘も静かに続ける。
「照も。」
「ふっかと同じくらい苦しんでた。」
「だから今は、照を待ってあげよう。」
深澤は涙を拭いながら、小さく頷く。
「……うん。」
「俺。」
「ちゃんと照の話、聞く。」
その言葉に、宮舘と渡辺は安心したように顔を見合わせた。
長い夜はまだ終わっていない。
それでも三人には、少しだけ朝が近づいているように感じられた。
コメント
2件
苦しいストーリーなのに💛💜の今後が気になって続きを早く読みたい、それにしても大物女優は何がしたいのか、💜を泣かせて苦しめてSnowManファンを敵にまわしたら怖いって思い知る位の天罰が当たって欲しい
うわあ……やっと、やっと真相が明らかになりましたね。深澤くんが抱えていた不安の正体が、単なる浮気じゃなくて、岩本さんへの嫌がらせだったという展開は、読んでいて胸が締め付けられました。でも、岩本さんもまた「自分が我慢すれば」と思って一人で抱え込んでいたんだなあ……お互いを想うがゆえのすれ違いが切ない。宮舘さんが仲介役として動いてくれたからこそ、二人の間にある誤解が解けていく流れは、本当に読んでいてほっとしました。ふたりが直接話し合う前に、まずそれぞれが自分の問題と向き合おうとしているところが、すごく大人だなと思います。この先、どんな形で再会するのか、楽しみにしています。