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#学パロ?
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ユイ
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「なんだ速中、お前、叫びながら敵を落としたんだって?」
食堂の騒がしい熱気の中、ドカリと僕の隣に腰を下ろし、豪快にヤシ酒の入ったグラスを突きつけてきたのは、鋭い眼光をした小柄な下士官だった。
台南空の精神的支柱であり、誰もが認める天才搭乗員――坂井三郎一飛曹だ。
「ち、違います、坂井一飛曹! 本当にただの偶然で、僕は必死にトリガーを……!」
「ははは! 偶然で落とせるなら誰も苦労しねえよ。なぁ、中尉?」
坂井さんはニカッと白い歯を見せて笑うと、僕の正面に座る笹井中尉に視線を送った。
笹井中尉は僕たちが持ち寄ったパパイヤを器用にナイフで切り分けながら、
「ああ。伝声管から聞こえた速中の悲鳴は、ラバウル一の傑作だったよ」
と、相変わらず楽しそうにこちらをからかってくる。
中尉(士官)と一飛曹(下士官)。
海軍の厳しい階級社会において、この二人の間に流れる、お互いの腕を認め合った対等な空気感は、見ていてどこか心地よかった。
「ふん。チビの少尉殿が、運だけで調子に乗るなよ」
ドスン、と椅子を荒々しく蹴るようにして、僕の斜め向かいに座った男がいた。
不機嫌そうに煙草をふかし、獣のような鋭い目で僕を睨みつけてくる。景浦介山一飛曹だ。
その凄まじい威圧感に、僕は思わず背筋を凍らせる。
「おい景浦、新入りをいじめるな。怖くて泣いちまうぞ」
景浦の隣で、長身の体を少し丸めながら、ぼそりと呟いたのは西沢広義一飛曹だった。
「ラバウルの魔王」と恐れられる男だが、地上では驚くほど無口で静かだ。
西沢さんは、僕ががむしゃらに撃ったという20ミリ機銃の弾道を思い返すように、皿の上の果物を見つめたまま言った。
「……でも、あの速度のP-39を落としたのは事実だ。速中少尉には、敵を引っかけるセンスがある」
「……っ」
あの魔王にまでそんな風に言われてしまい、僕はますます身の置き所がなくなる。
「みなさん、少尉殿をあまりからかわないでください。驚いて明日からのフライトに響きます」
そこへ、冷たい水が入ったピッチャーを持って、いつもの丁寧なお辞儀と共に現れたのが宮部久蔵一飛曹だった。
宮部さんは僕のグラスに水を注ぎながら、大真面目な顔で坂井さんたちを見回す。
「速中少尉は、私の後ろを守る大切な盾なのです。皆さんが余計なプレッシャーをかけて、明日の旋回が鈍ったらどうするのですか」
「おい宮部、お前また新入りを自分の身代わりにしようとしてんのか!」
坂井さんが呆れたように声を上げる。
「身代わりなどと人聞きの悪い。私は生き残るための最善の布陣を言っているのです」
宮部さんの頑なな「命惜しみ」の言葉に、食堂は再びドッと大きな笑い声に包まれた。
景浦はつまらなさそうに鼻を鳴らし、西沢さんは小さく口元を緩め、笹井中尉はそれを見ながらしみじみと珈琲をすすっている。
海軍の最高峰の天才たち。そして、誰よりも死を恐れ、誰よりも生に執着する男。
この強烈な怪物たちに囲まれながら、十六歳の僕は、冷めた珈琲を口に運んだ。
不時着したような、賑やかで、温かくて、けれどどこか切ない夜。
この人たちと共に過ごすラバウルの日々が、これから僕の人生をどれほど深く狂わせていくのか、この時の僕はまだ、何も知らなかったのだ。
コメント
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8話読了……すごくよかった、この空気感🥀 食堂の喧騒と天才たちの掛け合い、ひとつひとつの台詞が生きてるみたいだった。 特に宮部さんの「命惜しみ」が笑いを誘うところ、あの温度が好き。 でも最後の「何も知らなかった」で一気に切なくなる……この先が怖いけど、読みたい。 みぅ、この混沌に飲み込まれそうで、でも目が離せないよ🤍