まだ5月だと言うのに、もう既に夏のように少し蒸し暑い夜。
制作に少し行き詰まり、息抜きをしようとベランダに出て、瞬く星を眺めて見る。
と、言っても星の事は全然詳しくないのだけど、この時期に見える星で一つだけ知ってるのがあるんだ。
「どこだっけ…あ、あった。」
それはぼくの誕生日の星座である、乙女座のスピカという星。
キラキラと瞬く様は、まるであなたに対する気持ちを表しているようで、ぼくは少しだけ切なくなった。
「涼ちゃん、知ってる?」
「なに〜?」
「5月に乙女座の星が見えるんだよ。」
涼ちゃんの誕生月に、ぼくの星座の星が見えるなんて、ちょっと運命感じない?と本当は続けて言いたいけど、言える訳なくて。
ぼくは、少し切なくなった気持ちを笑顔で誤魔化した。
「…そうなんだ〜。知らなかった!じゃあ、今日見てみようかなっ。 」
無邪気にそう言って笑うあなたに今日もぼくは胸をドキドキと高鳴らせるけど、それは一時の事で、君を好きな気持ちがぼくの心を明るく照らす事もあれば、その気持ちが暗く苦しめる時もあって…
まるで星の瞬きのようなこの気持ちが、あの星の光に乗ってあなたに伝わればどれだけいいのだろう。
「うん、見てみてよ。」
ほら…最後に飲み込んだ気持ちが、またぼくの心を暗くする。
うん、見てみよ。
“ぼくの事を想いながら。”
-fin-
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