辺りの気温が急激に低下してきた。外の吹雪がどうやら本格的になりだしたようだ。
「お、おや! こりゃ今日は凄い吹雪になるなあ。ホワイトシティでも記録的だぞ」
「そうね。もう私は帰るわね」
「ああ、気をつけてな」
ヘレンはノブレス・オブリージュ美術館行きのバス停まで古代図書館の大理石の階段を降り始めた。
アーネストはもう少し調べてるようで、レファレンスルームからは出てこない。
ヘレンは玄関の受付で厚着のロングコートを受け取ると、外へと出た。古代図書館の外はすでに銀世界となり吹雪いて視界がすこぶる悪かった。
ようよう感でバス停まで横断歩道を探し当てて歩いていると、片側二車線の道路の行き交う交通の流れは完全に停止していた。
このままでは多くの凍死者がでる。
ヘレンはそう思った。
だが、この自然現象はホワイトシティではたまにあることだった。
ヘレンは大幅に遅れてきた16時30分の路面バスにようやく乗れた。ところが、数分もしないで、バスはエンストを起こした。
無理もない。
ヘレンはそう思った。
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