それから俺と桜はまこち町へ帰ることにした。
皐月『あー、梅先輩と逢うの気まずいな』
桜「…、まぁ急に話そうなんて言われても俺でも躊躇しちまうよ」
皐月『なんか今日桜優しいな?変なもんでも食べたか?』
桜「お前いい加減にしろよッ」
皐月『ははっ、ごめんごめん、優しくされるの慣れてないから、善意でもどうしても裏があるんじゃねーかって疑っちまうし、信じれないんだ』
桜「…、お前が過去に何があったか知らねーけどこの街にいる奴らはきっと大丈夫だよ、お前に酷いことしねーよ」
そう言ってくれた桜は俺より少し先を歩いてるけど耳まで真っ赤だったから、きっと彼なりの慰めなんだろう。
皐月『…、うん、そうだな…、俺は逃げてたんだ、誰も俺を見ようとしない、存在すらしてないんじゃないかって思ったんだ、でも、それを桜が変えさせてくれた、ありがとう、桜』
桜「ッ!///ぉぅ」
桜の照れた顔が愛おしくて気が付けば桜の頭を撫でていた。
桜「ッ」
皐月『あ、ごめん、つい…』
桜がプルプルと震えたから咄嗟に手を戻そうとしたら
桜「…ッ、お前なら、いい」
皐月『…!そか、ありがとうな、本当に』
そのまま暫く桜の頭を撫でた。
皐月(髪の毛サラサラだなぁ、それに柔らかくていい匂いする、安心できるし好きだなぁ)
桜「…ッ///も!行くぞ!」
顔が真っ赤になった桜はズンズン先へ進む。
皐月『へーへー、相変わらずの照れ屋さんだなあ』
桜「照れてねぇ!!!」
皐月(アレだけ桜には特別なものや、周りに人が居ると思ったけど、俺にもそうゆう人が居たんだな、本当に桜には敵わないや…、桜は俺の恩人だな…)
まこち町にて
梅宮「あ!やっと帰ってきた!心配したんだぞ!桜ありがとなあ連れ戻して来てくれて」
桜「別に…その辺歩いてたら居たから…」
蘇芳「桜くんは嘘つきだなあー、梅宮さんに言われた時1人すっ飛んでったのに」
桜「ばっ!ちげっ!」
皐月『そうなのか?なんかごめんな、俺なんかの為に…』
桜「お前は!俺なんかって辞めろ!」
皐月『…うーん、善処するよ笑』
梅宮「…、さて、皐月、少し話そうか」
皐月『…、はい』
この時の梅先輩はいつもの笑顔はなく、”総代”の顔をしていた。
梅宮「お前らせっかく手伝ってもらったのにごめんなー!少し皐月と話をさせてくれ」
蘇芳「勿論です、沢山話してください」
楡井「皐月さん!俺たち待ってますからね!」
ふと桜と目が合った。
桜は何も言わなかったがその目にはちゃんと話し合え、そう言ってる気がしたからオレは素直に頷いた。
屋上
梅宮「…、さて2人きりになれたんだ、話聞かせてもらおうか?」
そう話す梅先輩はやはり威圧感が出ている…。
こんな自分自身の悩みをこんな貴重な時間に使っていいのか…、桜には大丈夫だと言われたのに不安が抜けない…。
問いかけても喋らないオレに対し梅先輩は
梅宮「…、ごめんごめん、不安にさせたかった訳じゃないんだ、ただ、皐月の中にある不安を少しでも聞けたらなって思ったんだ、不安にさせてごめんなぁ」
そう更に眉を下げて申しわけなさそうに話した。
皐月『ッ、ちが、俺が悪いんです!俺が…ちゃんと、話さないから…』
梅宮「なら、話してくれるか?皐月の心の中、俺に話してくれないか?」
そう話す梅先輩は輝いてて、桜とは別に心に響いた。
あぁ、俺はこの人の元に来てよかったと…。
皐月『…、桜にはある程度話したんス、オレはこの場に居るべきじゃないって…ケンカも出来なければ守る事も、助けを呼ぶ事も、俺はただの傍観者でしか出来ない、だから場違いだって…、でも桜はそれでもいいって、俺は俺で…、でも、それでもやっぱり不安は変わらないんス…、桜は俺と友達になってくれてて、オレ、嬉しかったんスけど、その友達がもし危険な目に遭った時に助けられないのが辛い…、オレは何が出来るか…ッ』
話を終えると涙が止まらなくて、弱い癖に泣き虫とか最悪だ…、そう思ってると不意に暖かいものに包まれた。
梅宮「そうか、皐月はそう思ってたんだな、でも俺も桜と一緒で皐月は皐月だ、喧嘩出来なくても良いさ、その分俺らに守られてくれ!その為の兄ちゃんだし、やれる事が分からないなら探せばいい、大丈夫、皐月は独りじゃない、俺らがついてる、だから話してくれてありがとな…」
梅先輩はそう話すと俺の頭を撫でてくれた、まるで小さい子をあやす様に…
オレは恥ずかしかったけどその暖かさに身を委ねて梅先輩の背中に手を回した。
皐月『…、梅先輩…』
梅宮「ん?何だ?」
皐月『…その、たまに、なんスけど…、またこうやって抱きしめて…撫でて、くれますか…』
梅宮「…!勿論だ!いつでもしてやるよ!」
そう話す梅先輩はワシャワシャと俺の頭を掻き乱す…
皐月(嬉しいけどそうじゃない…でも、やっぱり暖かくて安心する、好きだなぁ、この感覚…)